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2008年06月14日(土) 11時01分

<岩手・宮城内陸地震>激しい揺れ 余震も相次ぎ住民ら恐怖毎日新聞

 土曜日の朝を激しい揺れが襲った−−。14日午前、岩手県や宮城県の一部で震度6強を観測した「岩手・宮城内陸地震」。福島と岩手では2人が死亡したほか、割れたガラスや住宅の倒壊、落ちてきた物に当たるなど多数のけが人が出た。激しい縦揺れと大きな横揺れ。本震後も余震が相次ぎ、住民らは直下型地震の恐怖に震えた。

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 ■岩手県

 震度6強を観測した岩手県南部。一関市などで被害が相次いだ。県総合防災室よると、同市厳美町で建物が一棟倒壊し、男性が顔を負傷。同市須川地区では県道ののり面が約30〜50メートルにわたって大規模に崩落した。

 自分の園芸ハウスで水をまいていた同市厳美町の農業、佐藤修司さん(45)は「山がゴーと鳴った。晴れているのに何だろうと思った途端立っていられない状態になった」と驚いた様子で話した。

 奥州市江刺区の玉里保育所では、窓ガラスが割れ、園児6人と職員1人が負傷した。同市の水沢消防署によると、「ガラス戸が割れてけがをした」「油が漏れた」などの通報が数件あり、消防車が出動しているという。

 奥州市職員、(井面いのも)宏さん(42)は、地震発生時、中心地の水沢区の自宅2階寝室にいた。「『ガタガタ』と家全体の戸が揺れ、テレビ台からテレビが落ちた。畳に座っていましたが、30秒ほど激しい同じ強さの横揺れが続き、立ち上がれなかった。『窓を開けて。収まったら外に出ろ』と妻や子供に言い残し、家を飛び出した」と話した。

 一関市山目の「一関タクシー」では、整備工場に20段積み上げ保管していた冬場の滑り止め用砂袋が崩れて散乱した。事務所内では両替機が床に倒れ、神棚が落ち、机の上の書類が床に散らばった。社員の菅原雄一さん(48)は「小刻みの強い横揺れで柱にしがみ付き、立っていられなかった」と話す。

 ■宮城県

 震度6強から6弱を観測した宮城県栗原市役所総務課の佐藤仁美さん(26)によると、4階建て本庁舎では、柱や壁の一部が欠けたほか、花瓶が倒れて割れたり、書類が散乱した。地震発生時、佐藤さんは自宅から本庁舎に向かって路上を1人で歩いていたが、突然の激しい揺れに思わずしゃがみこんだ。目の前の用水路(幅1メートル、深さ50センチ)の深さ10センチほどの水が揺れてあふれ出した。走っていた車が止まり、近隣の住宅からは人が飛び出してきた。佐藤さんは「最初は縦に揺れてその後、横に揺れた」と振り返った。

 新幹線くりこま高原駅にいた同市の佐藤範男企画部次長は、突然縦横同時の激しい揺れに襲われた。「立っていられなかった。こんなに強い揺れは生まれて初めて」と話した。

 同市金成沢辺の小野寺茂子さん(76)は酒店を兼ねた自宅2階の居間でテレビを見ていたところ、揺れが始まった。約30秒間続き、テーブルにしがみついた。棚のウイスキー瓶数本や皿が落ちて散乱した。「腰が抜けるかと思った。余震が続いているので怖い」と話した。

 県危機対策課に入った情報によると、同県涌谷町内では民家2件のブロックが倒れたほか、町立涌谷中の柔剣道場の天井の一部が落下した。

 県警によると、同県名取市のショッピングセンターで、エスカレーターが停電で緊急停止し、1人が転倒し足を骨折する重傷を負った。仙台空港近くの県道では、バスの車内で乗客23人全員が軽傷を負った。

 ■秋田県

 秋田県警によると、秋田市内で70代の女性が室内で転倒、左腕を骨折した。湯沢広域消防本部に入った連絡では、湯沢市内で住宅火災が1件発生した。

 震源に近い栗駒山ろくにある同県東成瀬村のホテル「栗駒山荘」によると、浴場のガラスが割れ、客室のテレビが落ちたり駐車場の舗装に亀裂が入る被害があった。けが人はいないという。フロントの谷藤伸幸さん(27)は「最初に縦揺れ、その後に大きな横揺れがあった。何かにしがみついていないと立っていられない状態で、外に飛び出すお客さんもいた」と話した。

 ■山形県

 14日午前9時20分ごろ、山形県新庄市十日町、塗装業手伝い、壱谷英子さん(60)が、余震に驚き、自宅敷地内の小屋から外に飛び出したところ、庭の水たまりに足を滑らせ転倒、左肩脱臼の重傷を負った。

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