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2008年06月14日(土) 21時40分

岩手・宮城内陸地震 5人死亡、155人負傷 不明11人毎日新聞

 14日午前8時43分ごろ、東北地方で強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強、北海道から愛知県までの広い範囲で震度6弱から1の揺れを観測した。気象庁によると、震源地は岩手県内陸南部で、震源の深さは8キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.2と推定される。この地震で5人が死亡、155人が重軽傷。宮城県内で計11人が行方不明になっているとの情報があり、懸命の捜索・救助活動が続いている。山間部で土砂崩れが多発し、道路が寸断されて孤立する集落も相次いだ。ヘリコプターなどで救出された住民もいるが、孤立集落に取り残されている住民も多く、不安な一夜を過ごしている。

【写真特集】岩手・宮城内陸地震 被害の様子

 気象庁はこの地震を「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」と命名。岩手県と宮城県はそれぞれ、一関市と栗原市に災害救助法の適用を決めた。

 各県や県警などによると、胆沢(いさわ)ダム(奥州市胆沢区)工事現場で、作業をしていた千葉正彦さん(48)=岩手県滝沢村=が顔面に落石の直撃を受けて死亡した。栗原市花山本沢熊倉の国道398号では、門脇特殊工業(山形県鮭川村)の作業員3人が生き埋めとなり、五十嵐正巳さん(54)と門脇義富さん(53)=いずれも鮭川村=が救助されたが、死亡が確認された。

 栗原市栗駒沼倉耕英東の旅館「駒の湯温泉」では7人が行方不明で、生き埋めとなっている可能性が高い。市災害対策本部によるとうち2人は、地域づくりプランナーとして知られる麦屋弥生さん(48)=東京都葛飾区=と、地方鉄道の保存活動で知られる鉄道博物館学芸員、岸由一郎さん(35)=東京都北区=の可能性が高いという。他にも同市内で「橋から2人が落下した」「釣りに行った家族が帰ってこない」という計3人の行方不明情報があり確認を進めている。

 がけ崩れなどのために孤立したのは、岩手県一関市と宮城県栗原市を中心に少なくとも6集落601人。一部はヘリなどで救助されたが、日没で救助が続けられず、全員の救出には至っていない。

 重軽傷者は14日午後8時現在、▽宮城112人▽岩手29人▽秋田13人▽山形1人−−の計155人。宮城県で196人、岩手県で72人、秋田県で3人が避難している。

 建物被害は岩手県で5棟が全壊するなど、岩手、宮城両県で105棟が損壊。がけ崩れは多数に上り、確認を急いでいる。

 流れ込んだ土砂が川を遮断する「せき止め湖」が、宮城、岩手両県内7カ所で確認された。雨で増水すると決壊の恐れもあるため、国土交通省と両県は15日から本格的な調査を始める予定で、無人ショベルなど機材の準備を進めている。

 岩手県奥州市の石淵ダムでは、えん堤最上部に亀裂などが生じ、のり面の一部も崩壊。異常がないか確認するため、午後2時半から放流を始めた。秋田県湯沢市の県営皆瀬ダムでも、えん堤の上部に亀裂が生じたが、決壊の恐れはないという。

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