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2008年06月14日(土) 22時13分

岩手・宮城で震度6強、6人死亡、11人不明スポーツ報知

地震による土砂崩れで寸断された道路

 14日午前8時43分ごろ、東北地方で強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強を記録したほか、北海道から愛知県にかけて広い範囲で揺れを観測した。その後も最大震度5弱の余震が続いた。

 死者は岩手、福島、宮城の3県で計6人になり、共同通信の集計で重軽傷は190人を超えた。また土砂崩れで倒壊した旅館の下敷きになるなどして15人が行方不明となり、孤立する施設や集落も相次いだ。また各地で道路が崩落するなどして、数百人が施設や集落で孤立状態となった。

 気象庁によると、震源地は岩手県内陸南部で震源の深さは約8キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・2と推定される。秋田県で震度5強、山形、福島両県で震度5弱を観測した。午前8時43分ごろに震度6強を記録後、午後10時までに震度1以上の余震を197回観測した。震度6強は昨年の新潟県中越沖地震以来。M7を超える内陸部の直下地震は過去50年で、1995年の阪神大震災と2000年の鳥取県西部地震に続き3回目という。

 気象庁は今回の地震を「岩手・宮城内陸地震」と命名した。

 官邸対策室や各県警などによると、死亡したのは、奥州市の胆沢ダムの工事現場で落石を受けた作業員千葉正彦さん(48)=岩手県滝沢村=と地震直後に家から飛び出し、トラックにはねられた岩手県一関市の千葉友三さん(60)、海岸で釣りをしていて、土砂崩れに巻き込まれた福島県いわき市の会社員石井道隆さん(55)、栗原市の工事現場で土砂崩れに巻き込まれた同五十嵐正巳さん(54)=山形県鮭川村=、同門脇義富さん(53)=同=のほか、栗原市で土砂崩れに遭った性別不明の1人。

 栗原市の工事現場では、ほかにも作業員1人がなお行方不明となっている。また旅館の建物の下敷きになっているのは7人で、うち2人は宿泊客の東京都内の男女。県警などは同日夜に捜索をいったん打ち切り、15日朝から再開する。

 このほか、栗原市では3人の行方がわからないという。

 道路崩壊などで孤立したのは、岩手県一関市の須川温泉の約100人や栗原市の「いわかがみ登山口」の約60人など。さらに一関市では、長さ約95メートルの祭畤(まつるべ)大橋が落下し、約20人が取り残された。それぞれ自衛隊のヘリコプターなどが救助に当たった。

 奥州市では、約20人が乗ったバスが土砂で林道から押し出されたが、全員救助された。うち8人が負傷した。

 東北新幹線の仙台以北と秋田新幹線は運転再開できず、約11万7000人に影響した。在来線も東北地方の広い範囲でストップしたが、点検を終えた路線から運転を始めた。

 文部科学省によると、地震で仙台獅子の陸奥国分寺薬師堂の欄干が落下するなど、重要文化財を含む12の文化財に被害が出た。

 仙台市のクリネックススタジアム宮城で予定されていたプロ野球交流戦の楽天—巨人3回戦は中止となった。

 政府は官邸対策室を設置し、泉信也防災担当相ら政府調査団を現地に派遣した。岩手、宮城両県知事から災害派遣要請を受け、陸上自衛隊も出動した。国土交通省も応急復旧工事に当たる緊急災害対策派遣隊約20人を現地に送った。

 ◆新幹線駅間停車、道路ひび
  東北、山形、秋田新幹線は一時全線で運転を見合わせたが、午後一時半に山形新幹線と東北新幹線の東京—仙台間で運転を再開。東北地方の広い範囲でストップした在来線も、点検を終えた路線から運転を始めた。駅間で停車した列車は新幹線3本、在来線10本。乗客計約3300人が降車して歩いたり、バスに乗り換えるなどした。

 高速道路は東北、秋田、山形、釜石自動車道などの広い範囲で通行止め。東日本高速道路によると、秋田道の湯田—横手で路面に長さ約10メートルの亀裂が入った。

 空路は平常通り運航している。

 ◆揺れの加速度1800ガル
   気象庁は14日の記者会見で、岩手・宮城内陸地震で揺れの強さを示す加速度が最大1816・5ガルだったと発表した。震度6強の揺れとなった岩手県奥州市で観測された。同庁が加速度の観測を始めた1996年以降で、3番目の強さだという。

 これまで同庁は、2004年10月の新潟県中越地震で2515・4ガル、03年7月に宮城県で発生し、最大震度6強を観測した地震で2037・1ガルを観測している。

 ◆外国メディアも速報
  東北地方で14日午前に起きた強い地震について、外国メディアは発生直後から一斉に速報、約1か月前に中国・四川大地震が起きたこともあり、英BBC放送がNHKの映像を流すなど高い関心を示した。

 ロイター通信は地震発生から約5分後の午前8時48分に日本のテレビを引用して「東北地方で地震が発生」と伝え、9時53分には「1人が死亡」などと逐一速報。AP通信も、余震で出された緊急地震速報を直ちに報じるなど、詳細な報道が目立った。

 四川大地震を経験したばかりの中国の新華社も英文記事で地震発生を速報した。

 BBCは「ブレーキング(臨時)・ニュース」として、NHKが放送した仙台市の交差点監視カメラの映像などを伝えた。ロシアのタス通信も地震発生から約10分後に速報した。(共同)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080614-OHT1T00091.htm