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2008年06月14日(土) 23時44分

【岩手・宮城内陸地震】「阪神」並のエネルギー 「四川」とも共通点産経新聞

 岩手・宮城内陸地震は、プレート(岩板)の移動に伴い地盤が圧縮されて起きた逆断層型の地震だった。名古屋大学大学院地震火山・防災研究センターの解析によると、震源断層の長さは約30キロで、西側の地盤が東側に乗り上げた可能性が大きい。断層のすべり量から求めた地震のエネルギー(モーメントマグニチュード)は6・9で、阪神大震災と同規模の内陸直下型だった。

 盆地と山地の境界に沿って複数の活断層が走る山間地で起きた点は四川大地震と同じで、メカニズムにも共通点がある。

 北米プレートに乗っている東北地方は、東から西に移動する太平洋プレートによって常に押され、東西方向の圧縮力を受ける地盤に地震エネルギーが蓄積される。四川大地震を起こした竜門山断層帯のずれも、プレートの衝突に伴う圧縮力が引き起こした。

 今回の震源地付近では明らかな活断層は把握されていなかったが、約20キロ北には「北上低地西縁断層帯」と呼ばれる活断層帯があり、その南端や延長線上の断層が動いた可能性がある。

 政府の地震調査委員会は、震源断層が西へ傾斜していれば同断層帯の南端の動き方とほぼ一致するが、東へ傾斜している可能性も否定できず、現時点で関連性は不明とした。今後、余震を詳細に観測して分析する。

 ただ、阪神大震災を契機に地震調査委が実施した主要活断層の長期評価では、同断層帯が動くとマグニチュード(M)7・8程度の地震が発生する可能性があるが、その発生確率は「今後300年以内で、ほぼ0%」だった。南端だけが動くケースは想定しておらず、切迫性の観点からはノーマークだったといえる。

 長期評価によると、同断層帯は過去3万年間に少なくとも2回活動し、最新の活動時期は4500年前の可能性がある。直下型地震は一般に、活動間隔が数千〜数万年と非常に長いため、発生予測は極めて困難だ。

 しかし、阪神大震災(平成7年)▽鳥取県西部地震(12年)▽新潟県中越地震(16年)▽福岡県西方沖地震(17年)▽昨年の能登半島地震と新潟県中越沖地震−など、日本列島全体でみれば「M7級直下型」の発生頻度は決して低くない。
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