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2008年06月14日(土) 23時40分

死者6人、宿泊客ら11人が不明…負傷者172人に読売新聞

広範囲な地滑りで、寸断された荒砥沢ダムの上流の道(読売機から)

 14日朝に発生した岩手・宮城内陸地震で、震度6強を観測した岩手県奥州市と宮城県栗原市で新たに4人の死亡が確認され、この地震の死者は6人になった。

 宮城県警などによると、栗原市にある駒の湯温泉の宿泊客ら7人を含む計11人の安否が不明。読売新聞が警察や自治体に聞いたところ、負傷者は午後10時現在で172人に上る。余震は断続的に続き、同時刻までに震度1以上が計197回に達した。気象庁は「今後1週間程度は余震が続くとみられ、震度6弱程度を記録するおそれもある」と警戒を呼びかけた。

 気象庁は同日午後、今回の地震について、震源の深さは約8キロ、マグニチュードは7・2に修正した。

 新たに死亡が確認されたのは、岩手県滝沢村の千葉正彦さん(48)。奥州市の胆沢(いさわ)ダム工事現場で落石を受けた。宮城県栗原市の国道のり面工事現場で土砂崩れに巻き込まれた山形県鮭川村の作業員五十嵐正巳さん(54)、同門脇義富さん(53)の2人は同日夜、死亡が確認された。宮城県栗原市湯浜温泉で土砂崩れに巻き込まれた車の中から救出された1人(性別不明)も死亡した。

宮城県栗原市の土砂崩れ現場で行方不明者を捜す消防隊員ら(14日午後7時19分)

 また、宮城県警によると、釣り人や駒の湯温泉の宿泊客、旅館経営者の家族ら計10人が安否不明。作業員2人が死亡した工事現場には1人が土砂に埋まったままだが、仙台市消防局レスキュー隊などの捜索活動は余震で難航。午後7時すぎに2人を発見したが、土砂崩落の危険性があり、捜索は打ち切られた。

 また、栗原市では、250人を超える住民が孤立。岩手県一関市でも須川地区などで土砂崩壊が確認され、自衛隊などのヘリで300人以上が救出された。

 被災地には、東京消防庁が14日午後、ハイパーレスキュー隊員19人を含む職員計34人を現地に派遣した。同隊はがれきの中に閉じこめられた人を見つけ出すファイバースコープなどを使い行方不明者を捜索する。

 この地震で、JR東日本は6か所で架線の切断が見つかった。東北新幹線仙台—八戸間と秋田新幹線上下全線で14日中の運行を見合わせたが、15日は通常ダイヤに戻る見通し。各新幹線の運休は計145本に上り、約11万7000人に影響した。東北新幹線の下り「はやて・こまち1号」は、午後6時7分に仙台駅に到着するまで、乗客約1000人が停車から約9時間半、缶詰め状態になった。

 水道管の破損も各地で相次ぎ、宮城、岩手、秋田、山形の4県で計3800戸が断水。栗原市などには給水車が出動している。 

 

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080614-2892868/news/20080614-OYT1T00629.htm