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2008年06月14日(土) 23時39分

地元企業に影響 トヨタ系でライン破損産経新聞

 岩手・宮城内陸地震は、地域の経済活動にも大きな影響を与えた。トヨタ自動車グループの工場で生産ラインの一部に破損が生じたほか、電機・食品メーカーでも生産ラインの停止や操業中止が相次いだ。また、スーパーやコンビニエンスストアなどでも営業を見合わせる店が出ている。関係各社は被害の確認を急ぐ一方、早期の操業再開に追われている。

 トヨタ自動車グループの関東自動車工業岩手工場(岩手県金ケ崎町)では、地震によって組み立てラインにつり下げられていた自動車のボディー10数台分が落下したほか、管理棟の天井が一部崩壊。また、避難の際に従業員1人が足に軽いけがを負った。

 東北地方にはトヨタ系の生産拠点が多く、同工場では「カローラルミオン」などを組み立て生産しており、地震発生時には従業員317人が設備のメンテナンス作業のため出勤していたという。今後、ラインの点検や余震の状況を見極め、週明けにも再開の可否を決める。トヨタ自動車東北(宮城県大和町)などでは被害はなかった。

 一方、大手ビールメーカーのサッポロビール仙台工場(宮城県名取市)では、ビールの仕込みに使う用水タンクに亀裂が入ったが、現地調査の結果、週明けから操業できる見込み。塩野義製薬金ケ崎工場(岩手県金ケ崎町)では配管や壁に亀裂がみつかったため、操業を停止して設備点検を急いでいる。

 また、電機メーカーでも生産ラインの停止が相次いだ。NEC東北(岩手県一関市)では、工場で壁の一部がはがれる被害が出たほか、ソニーの関連会社3社では揺れのため一部生産ラインが自動停止した。富士通マイクロエレクトロニクス岩手工場(岩手県金ケ崎町)でも生産ラインの一部に被害が生じ、稼働は早くても18日以降にずれ込む見通し。

 流通業界では、イオングループのマックスバリュ古川店(宮城県大崎市)など11店で、計8人の従業員が転倒や落下物により軽傷を負ったほか、空調設備の破損や商品の散乱などの被害が出たため、営業を一時見合わせた。外食大手の日本マクドナルドでも宮城県内の3店舗で営業を一時見合わせた。

 このほか、土砂崩れで輸送ルートが寸断されたのに伴い、宅配事業者は一部のエリアで集配を中止した。ヤマト運輸は、岩手県一関市に入る一部の道路が土砂崩れで通行不能となったため、同地域の集配作業を中止。日本通運や佐川急便でも集配に遅れが出ている。ただ、被災地への配達中止は行わない方針だという。
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