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2008年06月14日(土) 23時33分

<岩手・宮城内陸地震>政府、7分後に対策室設置毎日新聞

 14日の岩手・宮城内陸地震は、福田内閣にとって災害への危機管理能力が問われる初めてのケースとなった。政府は発生7分後の午前8時50分、首相官邸の危機管理センターに対策室を設置。3時間後には泉信也防災担当相ら政府調査団31人を現地に向かわせる初動対応を見せた。しかし、夜になってもなお被害の全容把握が進まず、行方不明者の捜索が続く事態に、福田康夫首相は自ら夜を徹しての作業を関係省庁に指示した。

 「自衛隊や警察などすべての機能を動員する。人命救助が一番大事だ」。午後1時過ぎ、首相は記者団に言った。発生直後、公邸で一報を受けた首相は、被害状況の早期把握と迅速な広報、被災者救助に全力を挙げるよう指示していた。

 14日夜には、内閣府で災害対策関係省庁連絡会議を開き、対応を協議。対策室長の伊藤哲朗・内閣危機管理監は「把握していない被害があるかもしれない。政府内の情報共有が必要だ」と述べた。

 政府の対応は、安倍政権下の昨年3月に起きた能登半島地震の際とほぼ同じ。町村信孝官房長官は「整然としたスピーディーな対応」と評価した。初動の遅れが批判された95年の阪神大震災以降、政府は経験を積み重ねており、官邸筋は「震災対応はシステム化されており、連絡はスムーズだった」と話す。

 ただ、行方不明者の捜索や、被害の全容把握は難航。当初日帰りを予定していた泉担当相は、状況が不透明だとして現地にとどまり、15日には冬柴鉄三国土交通相も現地に派遣されることになった。

 午後6時32分、官邸で泉担当相から電話で状況報告を受けた後、首相は「ヘリコプターも午後7時になると飛ばない。夜間といえども地上から(救助を)継続するよう指示した」と強調した。

 ◇与野党各党も地震対策本部設ける

 一方、与野党各党も地震対策本部を設け、幹部を被災地に派遣するなど対応に追われた。自民党は、谷垣禎一政調会長を中心に地震対策本部の会合を16日に開き、復旧策などを協議する。公明党は対策本部長の井上義久副代表が14日、岩手県奥州市に入った。

 民主党も、鳩山由紀夫幹事長を本部長に対策本部を設置。岡田克也副代表らが15日、宮城県内の被災地に入る。共産党は対策本部事務局長の高橋千鶴子衆院議員が14日、宮城県栗原市に入り、社民党も対策本部を設置した。【塙和也、木下訓明】

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