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2008年06月14日(土) 22時53分

舗装道路ズタズタ、まるでクレーター…読売ヘリのルポ読売新聞

 14日午後3時前、震源地に近い岩手県と宮城県の県境の山間部上空を本社ヘリで飛んだ。

 従業員らが生き埋めになっているとの情報がある宮城県栗原市北部の駒の湯温泉付近。深緑の山間地を越えて近付くと、沢やダムが茶褐色で濁っていた。

 さらに進むと、一帯は茶色の泥水に埋め尽くされていた。幅200メートル、長さ500メートルはあるだろうか。2階建てだったとみられる白い建物は、1階部分が倒壊。30メートル近く土砂で押し流されたような跡が残る。建物内はがれきに埋まり、その下につぶれた乗用車も見えた。救急隊員数人ががれきをかき出し、懸命の捜索を続けていた。

 駒の湯温泉を離れ、南東へ5キロの荒砥沢ダム周辺へ飛んだ。突然、目に飛び込んできたのは褐色の山肌。一瞬、鉱山の掘削場のようにも見えた。が、周りの緑や舗装道路があちらこちらでずたずたに分断されている。異様だ。

 見渡すと、約2キロ四方が陥没しているではないか。山がまるごとひとつ消えたのだ。人影は見えず、赤茶と土色のまだらの地肌で、底までのぞき込めないほどくぼみが深い。切り立ったガケの高さは200メートルを超える。ダムは流れ込んだ土砂で茶色に染まる。「まるでクレーターだ」と、ヘリコプターのパイロットがつぶやいた。少し前まで、ここは美しい緑の山々だったのだ。地震のすさまじさを目の当たりにして体がこわばった。(畑武尊)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080614-2892868/news/20080614-OYT1T00725.htm