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2008年06月14日(土) 22時37分

「駒ノ湯温泉」の倒壊、捜索難航で早朝再開へ読売新聞

 震度6強の激しい揺れがのどかな山間地の地形を一変させた−−。14日午前、週末の東北地方を襲った岩手・宮城内陸地震。崩れた土砂やなぎ倒された木々が、救助隊の行く手に立ちはだかる。

 死者は6人、行方不明者は11人。被災地に入った救助隊は、土砂に押しつぶされた旅館に閉じ込められた人を救おうと懸命の作業にあたったが、捜索は山中の闇に阻まれ、中断を余儀なくされた。

 震源に近い宮城県栗原市栗駒にある駒の湯温泉郷。その一角にある旅館「駒ノ湯温泉」は、崩れた裏山の土砂が流れ込み、1階が押しつぶされた。建物内には、経営者家族の菅原チカ子さん(80)と長男孝夫さん(58)や客ら7人が取り残された。

 県警機動隊員8人が、ヘリで午後1時40分ごろ、旅館に到着。2階から穴を開けて1階に向かうと、うめき声が瓦礫(がれき)の下から聞こえてきた。追加部隊を含め24人が懸命に捜索を続けたが難航。日没と二次災害の恐れなどのため打ち切り、早朝から再開する。

 駒の湯温泉は、栗駒山(1627メートル)の登山道の途中、標高570メートルにある。380年の歴史を持ち、被害にあった宿は、インターネット上で「湯量が豊富」「素朴でリラックスできる」などと書き込まれるなど、温泉ファンの間では人気だった。

 岩手県一関市の旅館「須川高原温泉」では、宿泊客と従業員合わせて約60人が激しい揺れに襲われた。地面を突き上げるような大きな音が響き、テレビや金庫などが次々と倒れ、温泉の送水管も破損した。

 友人夫婦と一緒に宿泊していた千葉県船橋市の会社役員、原野忠之さん(65)は「揺れに足を取られて立ち上がれなかった。怖かった」と青ざめた。宮城県気仙沼市の50歳代の女性客は「電気が切れた山の中で孤立状態になり不安だった。下りてこられてよかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080614-00000036-yom-soci