記事登録
2008年06月14日(土) 22時36分

<岩手・宮城内陸地震>孤立した住民ら、ヘリで避難所に移動毎日新聞

 宮城県栗原市の栗駒総合運動場内の臨時ヘリポートには14日夕、同市の駒の湯温泉周辺の山間部で岩手・宮城内陸地震に被災し、孤立した住民らが次々に運び込まれた。救急隊員に支えられ、疲れきった表情を浮かべた高齢者や、幼い子どもを抱いた母親らがマイクロバスに乗り、近くの避難所に移動した。

 仙台市から観光に来ていた会社員、国府寺正之(こうでら・まさゆき)さん(39)は、車内で休憩中に地震に遭った。「わき水の出る場所で休んでいたら突然、突き上げるような揺れを感じた。揺れがおさまるとわき水が茶色くにごり、周囲のアスファルトに亀裂や隆起、陥没があった」という。

 「家が駄目になっちゃった。もう戻れない」。自宅でお茶を飲もうとして被災した女性(78)は涙声でつぶやいた。農機具を収納している長屋が崩れ、倒壊を免れた母屋も割れた窓ガラスや食器などが散乱した。「こんなことは60年暮らしていて初めて」と途切れそうな声で言った。

 栗原市内に住む4歳と7歳の兄弟は、山間部の祖父母宅で食事をしていて被災したという。兄は「怖かった。自分では動けなかった」と話した。

 岩手県一関市でも、住民や温泉客などが5カ所で孤立し、県のヘリなどで救助された。

 14日夜までに、約330人が避難場所になっている市立本寺小学校に到着。大半の人が家族の迎えや臨時バスで帰途に就いたが、約80人は「通行止めで自宅に帰れない」などの理由で一夜を過ごすことになった。

 群馬県からバスツアーで岩手に来ていた町田和治さん(70)は「土砂が崩れてバスが急停車した。自然のことだからどうしようもないが、無事に避難できたことがありがたい」と話した。

【関連ニュース】
岩手・宮城内陸地震:栗駒の温泉で数人生き埋め、救出作業

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080614-00000127-mai-soci