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2008年06月14日(土) 22時13分

【岩手・宮城内陸地震】「土砂の奥からうなり声」 緊迫の温泉施設産経新聞

 「土砂の奥から、うーん、とうなり声がするのだけど…」。地震の影響を大きく受けた宮城県栗原市の栗駒地区。温泉宿泊施設「駒の湯温泉」の宿泊客や経営者家族などが生き埋めとなり、100人以上が道路などの寸断により孤立。救出された住民や観光客らは無事を喜び合うする一方、消息が分からない人々の安否を気遣っていた。

 栗原市の栗駒総合運動公園駐車場。臨時のヘリポートが作られ、海上保安庁や各県の防災ヘリが、各地で孤立していた住民や観光客らを爆音とともに次々と搬送してきた。

 トリアージタッグを首にかけながらヘリを降り立ち、「怖かった」「揺れが激しく立っていられなかった」などと地震の衝撃を口々に語る人々。駒の湯温泉付近は土砂崩れの被害がひどかったという。

 近くに住む男性(81)は「駒の湯温泉は屋根以外全部埋まってしまった。助けようと思ったけど、重機がなければどうにもならなかった」と、悔しそうな表情を浮かべた。

 「土砂の奥から、生き埋めになった人の声の『うーん、うーん』といううなり声が聞こえるんだ。自衛隊が来てくれるという話を聞いたから、なんとかしてれくれればいいんだけど…」

 別の男性は「駒の湯温泉の裏側がすべて崩れた感じ。沢が1キロ近く土砂で埋まっていた。埋まった建物の中から聞こえる声は(経営者の)息子さんだと思うんだけど」と話した。

 仙台市宮城野区から1人で日帰り温泉に入るため、栗駒山に来たという会社員の国府寺正之さん(39)は、山頂近くの駐車場で車のシートを倒し、仮眠している最中に地震にあった。周辺の観光客ら50人とともに、土砂や地割れなどで道路を寸断された状態で7時間以上孤立していたという。

 道路はアスファルトが全体にわたって隆起。道路の先には観光バスが止まっていたが、「その先の道路はすっかりなくなっていた」。孤立していることが判明した後は周囲の人々と励まし合いながらヘリの助けを待ったが、5、6人ほどの人が「歩いて降りる」と言って寸断された道路を伝い、下に降りたという。

 国府寺さんは「その後の消息は分からない。どうなっただろう」と心配していた。
 県警若柳署などによると、栗駒山ふもとの道路は高さ5メートル以上の土砂の固まりが200メートルにわたって落ちて道をふさぎ、道路を寸断しているという。現場では自衛隊が撤去作業の準備を進めている。
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