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2008年06月14日(土) 22時12分

【岩手・宮城内陸地震】「40メートルほど横転しながら落ちていった」 産経新聞

 震度6強の揺れを観測した岩手県奥州市の林道では、約20人が乗ったバスが地震の影響で流出した土砂で路外に押し出された。乗客10人が重軽傷。同県黒石町の無職、山内登美子さん(73)は脱出の瞬間を振り返り、「恐ろしくて叫び声も出せなかった」と顔をこわばらせた。

 一行は胆沢(いざわ)ダム近辺の森で、ブナの木を植樹する活動を行う「胆沢ダム水資源のブナ原生林を守る会」のメンバー。この日もダム近辺の森を観察にいく予定だった。

 山内さんは左側の前から3番目の席に座っていたが、突然バサッという大きな音と衝撃を感じた。バスはがけの斜面を滑り落ちて途中で止まった。驚いて外を見ると、大量の土砂や木が降りつもっていた。「車体がずっとぐらぐらと横に揺れていたから、それでみんな、地震だと気づいた」という。

 男性運転手が「荷物はいいから早く出て」と叫び、開けることのできた2カ所の窓から、順番に脱出を始めた。山内さんは、バスが立ち往生してから数分後、先に脱出した男性から腕を引っ張ってもらい、窓から身を投げ出した。

 そして山内さんの次の乗客が脱出した直後、バスが沢に転落していった。「40メートルくらい横転しながら落ちていった」。脱出が間に合わなかった乗客らは、航空自衛隊の救難ヘリコプターに救出されたが、重傷を負い病院で治療を受けている。
 山内さんは「みんな命が助かってくれれば…」と話した。
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