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2008年06月14日(土) 22時07分

【岩手・宮城内陸地震】「脱線せず」はJRの対策が奏功か産経新聞

 今回の地震で震源近くを走っていた新幹線は、脱線を免れた。昭和39年の開業以来初めて新幹線が脱線した平成16年の中越地震以降、JR東日本が進めてきた地震対策が功を奏したともいえ、運休列車の代替輸送や線路の点検など復旧作業に追われる中、関係者には安堵(あんど)の表情もみられた。

 地震発生時、東北新幹線は約20本走行していたが、早期地震検知システムが正常に作動し全区間で緊急停止した。送電は2時間以内に復旧し、大半の列車が最寄り駅まで走行。揺れの強かった区間で長時間の設備点検が必要なため、震源から約25キロ地点にあった「やまびこ46号」など3本が駅間で停止し、乗客約2050人が避難した。

 架線設備の一部に不具合が出て仙台−八戸間と秋田新幹線を終日運休とすることを決めたが、鉄道施設に大きな損傷は見つかっていない。

 16年10月の中越地震では、震源から約10キロ地点を走っていた上越新幹線が脱線。鉄道関係者に衝撃を与え、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は激しい横揺れの繰り返しが原因と結論づけている。

 事故の後、JR東日本は脱線しても大きく逸脱することを防ぐL字形の装置を台車部分に取り付けたり、初期微動から大地震の前兆を感知して送電を停止するシステムを構築するなど、対策を進めてきた。

 一方、事故調は最終報告書で「震央近くで大地震に遭遇した場合、現行の鉄道システムでは脱線を完全に防ぐことはできない」と指摘。

 今回は中越地震と比べて震源からの距離や地震規模に差があり、JR東も「地震のメカニズムが分からず被害確認を進めている段階で、(脱線しなかったのが)一連の地震対策の成果とはいえない。今後詳しく検証していきたい」と慎重にみている。
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