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2008年06月14日(土) 19時37分

岩手、宮城で震度6強 3人死亡、10人不明中国新聞

 十四日午前八時四十三分ごろ、東北地方で強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強を記録した。その後も最大震度5弱の余震が続いた。岩手、福島両県で計三人が死亡し、宮城県で十人が行方不明となった。この三県と山形、秋田両県で少なくとも百人以上が重軽傷を負ったほか、各地で道路崩落や土砂崩れがあり、孤立する集落も相次いだ。

 気象庁によると、震源地は岩手県内陸南部で、震源の深さは約八キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・2と推定される。気象庁はこの日の地震を「岩手・宮城内陸地震」と命名した。

 警察庁や各県警、各地の消防によると、死亡したのは、奥州市の胆沢ダムで作業中、落石に遭った千葉正彦ちば・まさひこさん(48)、地震直後に家から飛び出し、トラックにはねられた岩手県一関市の千葉友三ちば・ともぞうさん(60)、海岸で釣りをしていて、土砂崩れに巻き込まれた福島県いわき市の会社員石井道隆いしい・みちたかさん(55)。

 栗原市の駒の湯温泉の旅館が倒壊、経営者の家族と宿泊客ら計七人が建物の下敷きになったとみられ、行方が分からないまま。栗原市の工事現場では、作業員三人が土砂崩れに巻き込まれ、行方が分からなくなった。それぞれ県警などが捜索している。

 奥州市では、約二十人が乗ったバスが路外に押し出されたが、全員救助された。

 道路崩壊などで孤立したのは、岩手県一関市の須川温泉で約百人など。また岩手、宮城両県で一時計約二万九千戸が停電し、断水もあった。東京電力や東北電力によると、福島第一、第二原発、女川原発は異常なく、正常運転を続けた。

 国土交通省によると、東北、山形、秋田新幹線は運転見合わせ。在来線も東北地方の広い範囲でストップし、仙台市地下鉄も全線で見合わせた。

 岩手県平泉町の中尊寺では本堂の壁にひびが入るなどしたが、国宝の金色堂に被害はなかった。

 仙台市のクリネックススタジアム宮城で予定されていたプロ野球交流戦の楽天—巨人3回戦は中止となった。

 気象庁はこの地震で、地震の大きな揺れの直前に予想震度を発表する緊急地震速報を出した。

 政府は官邸対策室を設置し、泉信也防災担当相ら政府調査団を現地に派遣した。岩手、宮城両県知事から災害派遣要請を受け、陸上自衛隊も出動した。国土交通省も応急復旧工事に当たる緊急災害対策派遣隊約二十人を現地に送った。

【写真説明】<上>ダム周辺の土砂崩れ現場で崩落した道路=14日午後0時55分、岩手県奥州市で共同通信社ヘリから<下>地震被災地へ向けて飛び立つヘリに乗り込む国交省や警視庁の職員=14日午前11時34分、防衛省

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200806140526.html