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2008年06月14日(土) 18時38分

【岩手・宮城内陸地震】エネルギーは阪神大震災と同じ産経新聞

 岩手・宮城内陸地震は、プレート(岩板)の運動に伴い地盤が圧縮されることによって起こる逆断層型の地震だった。名古屋大学大学院地震火山・防災研究センターの解析によると、震源断層の長さは約40キロで、西側の地盤が東側に乗り上げた可能性が大きい。断層のすべり量から求めた地震のエネルギー(モーメントマグニチュード)は6・9で、阪神大震災と同じ。中国・四川大地震の約30分の1に相当する。

【写真で見る岩手・宮城内陸地震】

 盆地と山地の境界に沿って複数の活断層が走る山間地で起きた点は四川大地震と同じで、メカニズムにも共通点がある。

 北米プレートに乗っている東北地方は、東から西に移動する太平洋プレートによって常に押され、東西方向の圧縮力を受ける地盤に地震エネルギーが蓄積される。四川大地震を起こした竜門山断層帯も、インド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの衝突に伴う圧縮力が引き起こした。

 今回の震源地付近では明らかな活断層は把握されていなかったが、その北には「北上低地西縁断層帯」と呼ばれる活断層帯がある。東海地震の直前予知を目指す強化地域判定会委員で日本大学文理学部地球システム科学科の吉井敏尅教授は「その延長となる逆断層が今回の地震を起こした可能性がある」と指摘する。

 ただ、阪神大震災を契機に政府の地震調査委員会が実施した主要活断層の長期評価では、北上低地西縁断層帯でM7・8程度の地震が発生する確率は「今後300年以内で、ほぼ0%」だった。地震の起きやすい場所ではあるが、切迫性の観点からはノーマークだったといえる。

 地震調査委によると、北上低地西縁断層は過去3万年間に少なくとも2回活動し、最新の活動時期は4500年前だった可能性がある。直下型地震は一般に、活動間隔が数千〜数万年と非常に長いため、発生予測は極めて困難だ。

 しかし、阪神大震災(平成7年)、鳥取県西部地震(12年)、新潟県中越地震(16年)、福岡県西方沖地震(17年)、昨年の能登半島沖地震と新潟県中越沖地震など、日本列島全体でみれば「M7級直下型」の発生頻度は決して低くない。

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