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2008年06月14日(土) 16時42分

岩手・宮城で震度6強、3人死亡、10人不明スポーツ報知

地震による土砂崩れで寸断された道路

 14日午前8時43分ごろ、東北地方で強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強を記録した。その後も最大震度5弱の余震が続いた。岩手、福島両県で計3人が死亡し、宮城県で10人が行方不明となった。この3県と山形、秋田両県で少なくとも100人以上が重軽傷を負ったほか、各地で道路崩落や土砂崩れがあり、孤立する集落も相次いだ。

 気象庁によると、震源地は岩手県内陸南部で、震源の深さは約8キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・2と推定される。気象庁はこの日の地震を「岩手・宮城内陸地震」と命名した。

 警察庁や各県警、各地の消防によると、死亡したのは、奥州市の胆沢ダムで作業中、落石に遭った千葉正彦さん(48)、地震直後に家から飛び出し、トラックにはねられた岩手県一関市の千葉友三さん(60)、海岸で釣りをしていて、土砂崩れに巻き込まれた福島県いわき市の会社員石井道隆さん(55)。

 栗原市の駒の湯温泉の旅館が倒壊、経営者の家族と宿泊客ら計7人が建物の下敷きになったとみられ、行方が分からないまま。栗原市の工事現場では、作業員3人が土砂崩れに巻き込まれ、行方が分からなくなった。それぞれ県警などが捜索している。

 奥州市では、約20人が乗ったバスが路外に押し出されたが、全員救助された。

 道路崩壊などで孤立したのは、岩手県一関市の須川温泉で約100人など。また岩手、宮城両県で一時計約2万9000戸が停電し、断水もあった。東京電力や東北電力によると、福島第一、第二原発、女川原発は異常なく、正常運転を続けた。

 国土交通省によると、東北、山形、秋田新幹線は運転見合わせ。在来線も東北地方の広い範囲でストップし、仙台市地下鉄も全線で見合わせた。

 岩手県平泉町の中尊寺では本堂の壁にひびが入るなどしたが、国宝の金色堂に被害はなかった。

 仙台市のクリネックススタジアム宮城で予定されていたプロ野球交流戦の楽天—巨人3回戦は中止となった。

 気象庁はこの地震で、地震の大きな揺れの直前に予想震度を発表する緊急地震速報を出した。

 政府は官邸対策室を設置し、泉信也防災担当相ら政府調査団を現地に派遣した。岩手、宮城両県知事から災害派遣要請を受け、陸上自衛隊も出動した。国土交通省も応急復旧工事に当たる緊急災害対策派遣隊約20人を現地に送った。

 ◆新幹線駅間停車、道路ひび
  岩手県内陸南部を震源とする地震の影響で14日午前、JR東日本は東北、秋田、山形新幹線で運転を見合わせている。

 東北新幹線は地震の影響で送電がストップ。仙台—古川、一ノ関—水沢江刺で、やまびこ46号など新幹線三本が立ち往生し、職員が乗客の救出に向かった。

 高速道路は東北、秋田、山形、釜石自動車道などの広い範囲で通行止め。東日本高速道路によると、秋田道の湯田—横手で路面に長さ約10メートルの亀裂が入った。

 空路は平常通り運航している。

 ◆外国メディアも速報
  東北地方で14日午前に起きた強い地震について、外国メディアは発生直後から一斉に速報、約1か月前に中国・四川大地震が起きたこともあり、英BBC放送がNHKの映像を流すなど高い関心を示した。

 ロイター通信は地震発生から約5分後の午前8時48分に日本のテレビを引用して「東北地方で地震が発生」と伝え、9時53分には「1人が死亡」などと逐一速報。AP通信も、余震で出された緊急地震速報を直ちに報じるなど、詳細な報道が目立った。

 四川大地震を経験したばかりの中国の新華社も英文記事で地震発生を速報した。

 BBCは「ブレーキング(臨時)・ニュース」として、NHKが放送した仙台市の交差点監視カメラの映像などを伝えた。ロシアのタス通信も地震発生から約10分後に速報した。(共同)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080614-OHT1T00091.htm