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2008年06月14日(土) 16時07分

岩手・宮城内陸地震 「バス林道から転落」 脱出乗客が通報 道路寸断、救助阻む産経新聞

 14日朝、東北地方を強い揺れが襲った。岩手県奥州市などで震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震。市街地ではビルの窓ガラスが割れ、けが人が続出。山間部ではバスが谷底に転落したなどの情報もあるが、土砂崩れで道路が寸断され、救助活動を阻んでいる。「ゴーッと大きな音がした後、縦に大きく揺れた」「体が宙に浮くような強い揺れだった」。余震とともに住民の不安が続いている。

 「バスが林道から転落した」と、脱出した乗客から通報があった岩手県奥州市胆沢区の現場は、約5キロ手前で道路が寸断されており、地元消防署員や警察官が徒歩で救助に向かった。

 「転落したのは50メートル下の谷底」「土砂に埋まっている」。次々と入る情報に緊張が高まるが、詳細は不明。消防分署の担当者は「現場まで数時間はかかるだろう」といらだった様子で話した。

 同市のJR水沢駅から車で約15分の胆沢ダムでは、工事中の作業員が落石に遭った。「救急車が現場に向かったまま、まだ搬出されてこない」とダム事務所職員。

 震度6強を観測した宮城県栗原市では、山林や土砂と一緒に道路が崩落し、跡形もなく消えた。

 同市役所の男性職員は「強い縦揺れが30秒ぐらい続き、その後横揺れが1分続いた」。同市では1000人余りの全職員を緊急招集して被害状況の調査にあたっている。

 岩手県奥州市の市立玉里保育所ではホールの窓ガラスが割れ、園児ら計7人が破片で頭を切った。

 保育士の菅野淳子さん(33)によると、園児を迎えに出た玄関で大きな揺れに襲われ、近くにいた2人の子供を腕に抱えかばった。

 「バーン」。その瞬間、背後でガラスが割れ、振り返ると、ホールのドアの上部にはめ込まれた窓ガラスが落下。ホールの中で遊んでいた4歳の男児が、頭や左目の上を破片で切り、血を流しながら泣き叫んでいた。保育士らは園児の泣き声で騒然とする中、手当てに追われた。菅野さんは「どんなふうに揺れたのか覚えていない」という。

 震度6弱を観測した宮城県大崎市の主婦(52)は「ガタガタと大きな音がしてすごい揺れだった。窓を開けて、そのまましがみついていました。怖かった」とおびえ、「隣の美里町の両親宅に夫が確認に向かっている。無事でいてほしい」と話した。

 震度5以上を記録した岩手県北上市の主婦、阿部裕子さん(56)によると、朝食中に「ドーン」と大きな揺れがあった後、小さい揺れが何回か続いたという。地震後、知人らに連絡を取ろうとしているが、「まだ市内で電話が通じない」と不安そうに話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080614-00000123-san-soci