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2008年06月14日(土) 14時26分

崩れる山道路寸断 突き上げる揺れ河北新報

 突き上げるような強い縦揺れが襲った。最大震度6強を観測した14日朝の岩手・宮城内陸地震。一関市と栗原市では大規模な土砂崩れが発生し、国道をふさいだ。名取市ではバスがハンドルを取られ、乗客25人がけがをした。1978年6月12日の宮城県沖地震から30年。悪夢がよみがえった。

 土砂の崩落で国道342号が埋まった矢櫃ダム近くの一関市厳美町下真坂地区。近くのホテル瑞泉閣の男性従業員の話では、沿道の土砂崩れは小さな規模を含めると無数にあり、道路の亀裂もそちこちに生じている。

 現場付近に住む農業畠山竹治さん(72)は「居間にいたが、激しい揺れで動けなかった。庭のトラクターも横倒しになった」と話す。

 一関市厳美町駒形の農業佐藤弘征さん(64)は「農作業を終えて自宅で車を降りた瞬間、ズドーンと地鳴りした。地面が波打ち、立っていられなかった。家の中の棚もめちゃくちゃだ」と声を震わせた。

 国道398号が土砂崩れでふさがった栗原市花山。現場近くの湯浜温泉「三浦旅館」の三浦克子さん(52)は「男性が『車が土砂に埋まったようなので救助を要請してほしい』と駆け込んで来た。消防に連絡したが、助け出されたのかどうか分からない」と不安げに語った。

 「一関市の高齢者が驚いて家を飛び出し、車にはねられて死亡した」「奥州市の胆沢ダム工事現場で落石があり、作業員が重体」「奥州市の林道で17人乗りのマイクロバスががけ下に落ちた」

 岩手県災害対策本部には各地から被害情報が次々に入った。だが、現地に通じる道路が寸断され、確認できない状況。「どういう状況か分からない」と、職員は焦りを募らせた。

 「橋が波打って体が座席から浮いた状態になり、ブレーキも掛けられなかった」と言うのは、桃生交通の観光バスの運転士(32)。名取市の仙台東部道路を走行中、地震で車体が揺れ、乗客が胸や腰を打ってけがをした。「揺れの瞬間、車内では乗客の悲鳴が上がった」と振り返る。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080614-00000021-khk-soci