記事登録
2008年06月14日(土) 11時41分

2人死亡、けが38人以上…震度6強の岩手・宮城内陸地震読売新聞

地震で地割れができた道路(14日午前11時9分、宮城県大崎市で)

 14日午前8時43分ごろ、岩手県南部を震源とする強い地震があり、同県奥州市と宮城県栗原市で震度6強、同県大崎市で6弱を記録した。

 秋田県湯沢市、仙台市宮城野区などでも5強を記録するなど、東北から関東の広い範囲で強い揺れを観測した。北海道や北陸地方などでも揺れを観測した。

 読売新聞のまとめによると、午前11時現在、この地震で2人が死亡、少なくとも38人がけがをした。

 気象庁によると、震源の深さは約10キロ、マグニチュードは7・0と推定される。同庁は東北地方で強い揺れの恐れがあるとして、発生とほぼ同時に緊急地震速報を流した。

 同庁は今回の地震を「岩手・宮城内陸地震」と命名、午前10時半から記者会見した横田崇・地震津波監視課長は「今後も活発な活動をする可能性がある。余震でがけ崩れや家屋の倒壊など、被害が拡大する可能性がある」として警戒を呼びかけた。

 この地震で、福島県いわき市小浜町の堤防で磯釣りをしていた同市勿来町、会社員石井道隆さん(55)が土砂崩れに巻き込まれて死亡、岩手県一関市東山町松川では地震に驚いて自宅前の道路に飛び出した千葉友三さん(60)がトラックにはねられて、死亡した。

 同県奥州市の水沢消防署などによると、市内の胆沢(いさわ)ダム工事現場で落石を受けた作業員が心肺停止状態になっている。また、現場近くで17人乗りの観光バスが横転し、けが人が多数出ているとの情報もある。

 宮城県名取市消防本部によると、同市内を走っていたバスが大きく揺れ、乗客20人がけが、うち3人が重傷。同市内のショッピングセンターでエスカレーターが急停止して女性がけがをするなど、各地でけが人が出ている。

 岩手県警によると、一関市厳美(げんび)町で家屋が倒壊、同市須川地区で大規模な土砂の崩落が確認された。同県金ヶ崎町の複数世帯で水道管が破裂している。

 同県奥州市江刺区内の「市立玉里保育所」では玄関ホールのガラス3枚が割れて落下、室内にいた園児6人と保育士1人が頭などにケガをして、病院に搬送されるなど、計12人が病院に搬送された。また、同市内では民家計10軒で、暖房用などの灯油を備蓄するタンクが転倒して、消防車が出動しているという。

 同市役所は災害対策本部を設置し、被害状況の把握に務めているが、午前10時現在で火災に関する通報はないという。

 気象庁によると、今回の震源付近で震度5以上を観測したのは、1996年8月11日に発生したマグニチュード5・8の地震以来。宮城県栗原市で震度5を観測している。岩手県と宮城県で震度5弱以上を観測したのは、2005年8月16日の宮城県沖地震(マグニチュード7・2)以来。この時は宮城県で震度6弱、岩手県で震度5強を観測した。

 地震を受け、政府は午前8時50分、官邸対策室を設置した。また、防衛省は災害派遣を決めた。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080614-2892868/news/20080614-OYT1T00216.htm