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2008年06月13日(金) 15時21分

半世紀ぶりに復活した砂浜オーマイニュース

 川崎市民待望の砂浜復活が、ゴールデンウィーク前の4月26日に実現した。同市に浜辺が復活したのは、実に50年ぶりのことだという。

こんなトコに砂浜が!?

 お披露目から1カ月半ほどたった6月5日と6日、記者は現地を訪れた。めざすは市街地沖に浮かぶ東扇島の東端、「東扇島東公園」の一角である。

 この公園はお世辞にもアクセスがよいとは言えない。島と本土はトンネルと高速道路でのみつながっており、バスの便もあるにはあるが、車がないと気軽に利用できない。同島には民家はなく、住民もいない。巨大な倉庫群が立ち並ぶのみである。市街地から隔絶された地区と言ってしまって差し支えないだろう。周辺にめぼしいものが何もないため、行楽地としては少々物足りなく感じた。

 とはいえ、同公園にはユニークな点が多い。災害時の非難拠点という性格を持つため広大な空き地(多目的広場と称されている)が広がっていること、周囲を囲むフェンスがないこと、対岸がコンビナートになっており非日常的な風景を形成していること、貨物船の積み出し場に隣接していること、すぐ沖合を船舶が往来していること、対岸に羽田飛行場を望むため、頻繁にジャンボジェット機を目にすること、飼い犬を自由に遊ばせるドッグランを二カ所備えていること、そして砂浜のおかげで潮騒を楽しめることである。

 実際のところ、人造のビーチは150メートル程度の幅しかなく決して広いとは言えないため、少々がっかりするかも知れない。しかしオープンしたばかりだというのに、磯場には黒々とした貝殻がびっしりと張り付いており、遠からず天然の浜辺へと生まれ変わっていく予感がした。

 残念だったのは、5日の日は海水が赤潮で赤茶けていたことだ。工事が決定したときは「再び潮干狩りができる日が来るのでは」と期待する向きもあったようだが、どうだろうか。翌日は晴天で気持ちがよかったため再び同地を訪れたが、このときは赤潮がかなりおさまり、潮風と太陽を満喫することができた。

 記者が住む横浜にも砂浜復活を訴える市民たちが少なからずおり、「ハマには浜を」というNPO法人をつくって活動している。両端を堤防で仕切り、その間に砂浜を造成するという東扇島のスタイルであれば、横浜に砂浜をつくることも夢ではないと思えてくる。ただ天然のビーチを維持するのでさえ、海岸侵食への備えや砂害、塩害対策、ゴミ対策など各種のケアが不可欠である。人造ともなれば想定外の事態も起こりうるだろう。

 さまざまなことを考えさせられる場所だが、今後を見守っていきたいと思う。

(記者:檀原 照和)

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