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2008年06月13日(金) 13時30分

国債価格急落って何が問題なの?R25

国債の市場価値が下がっているらしい。確かに、指標となる長期国債先物取引価格は、3月17日の141円70銭から、6月2日には133円92銭まで下落している。

国債とは、国家財政の赤字を補填するために発行される(売られる)もの。国の赤字財政を支えている存在だ。購入後の売買は自由で、株式市場と同じように国債市場が存在している。価値の決定も株とほぼ同じ。売る人が多く買う人が少なければ価格は下がる。つまり、今回の急落は国債が買われずに売られているということ。安定した債券といわれている国債になにが起きたのか?大和証券SMBC金融市場調査部長の末澤豪謙氏に聞いた。

「金融危機や戦争、災害などで市場が混乱すると、海外投資家はリスクが低くて流動性のある資産、例えば金や国債などに資金を移します。これを“質への逃避”と呼ぶのですが、サブプライムローン問題でも“質への逃避”が発生し、日本国債は海外投資家に大量に買われました。しかし、実質的に破たんしたアメリカの大手証券会社『ベアスターンズ』へ、今年3月頃に米政府が3兆円の公的資金投入を決定した時点で、市場の混乱は一時収拾。海外投資家は“質への逃避”をやめ、日本国債の売りに転じました。それが価格急落の要因の一つになっています」

このまま価値が低下して、さらに売れなくなるとどんなことが起こるのか。まず、財政赤字の補填が難しくなり、国の財政悪化は避けられない。もちろん、価値の下落は大量に国債を保有する銀行や保険会社などの金融機関にとっても大きなダメージだ。加えて、長期金利の問題もある。

「長期国債の価値は長期金利の目安。長期国債の価格が下がると、長期金利は上がると考えてください。長期金利が上がると、住宅ローンの金利上昇や企業の資金調達、設備投資の停滞といった影響が出ます」

国債を買わないから関係ないと思っていても、国債価格の急落は僕らの生活にも影響を与える事態なのだ。
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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