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2008年06月13日(金) 12時01分

秋葉原殺傷:「ホコ天」中止 地元住民の不安に配慮 安全確保が再開条件 /東京毎日新聞

 無差別殺傷事件を受け、12日に千代田区が秋葉原の歩行者天国を当面中止する方針を決めた。地元住民の不安の高まりに配慮した措置で、再開には「ホコ天」の安全確保が条件になる。しかし、人込みを狙った通り魔事件を防ぐ抜本的対策は見当たらず、電気街からは「中止が長引けば、街の魅力が落ちる」と懸念する声も上がる。「秋葉原」から「アキバ」に変容した街の行方を巡り、住民と電器店などの対応が揺れている。【前谷宏】
 ◇電気街、「魅力半減」と懸念の声
 「現状では、来る人が『怖い街』というイメージを持ってしまう」。警視庁に歩行者天国の当面中止を申し入れた石川雅己区長は、報道陣にそう説明した。
 秋葉原の歩行者天国は73年、街の発展を望む町会の要望で実現した。地元に暮らす万世橋防犯協会副会長の小暮敞士(たかし)さん(68)は「昔は子供のいい遊び場だった」と振り返る。
 しかし、近年はアニメやゲームの関連商品を扱う店や「メイド喫茶」などが急増し、「オタクの街・アキバ」として知られるようになった。つくばエクスプレスの開業(05年8月)やJR秋葉原駅周辺の再開発が相次ぎ、周辺4駅の乗客数も04年の1日平均約21万人から06年の約32万人へと急増。「オタク狩り」と称する強盗事件や過激な路上パフォーマンスも問題となり、住民からは治安の悪化を懸念する声が強まっていた。
 石川区長は「中止期間はそう長くはしたくない。ただ、再開にはすべての世代が気軽に歩ける憩いの場という原点に戻ることが必要だ」とし、安全確保に向け、地元商店街や警察などと協議を進める方針を明らかにした。
 これに対し、秋葉原電気街振興会の小野一志会長(54)は「歩行者天国が街の値打ちを上げてきた。『安全』の基準がよく分からないし、各地の繁華街が集客競争をする中で、街を衰退させることにもなりかねない」と指摘、早期の再開を訴える。
 区は事件現場の交差点に設けられた献花台を16日から、中央通りを挟んだ反対側の歩道に移すことを決めた。事件から四十九日に当たる来月27日まで設置する。
〔都内版〕

6月13日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080613-00000030-mailo-l13