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2008年06月12日(木) 18時14分

国会茶番劇:問責決議、信任決議の出し合いオーマイニュース

 NHKが11日午後3時から「党首討論」を放送しようとしていた。見ようと思ってチャンネルを合わすと、参議院で首相問責決議案が提出されたので中止するという。野党はなぜ問責決議案を提出するのか、それに対する福田さんの考えが明確になると期待していたので残念だ。

 民主党の小沢さんは「むちゃくちゃな行政が次々と明らかになってきた」として福田さんの責任を問うと言うが、福田さんは責任を感じていない。「制度改革は前任者のやったことを受け継いでいるだけで、誰がやっても同じこと」と、高をくくっているのだろう。

 問責決議が参議院で可決したのを受けての記者団の質問に「犠牲者は私だが、もっと犠牲者は国民だ」と答えた。さらに解散・総選挙の可能性については、案の定「そう言うことは考えていない」と言い切った。

 与党は問責決議に対抗して衆議院で信任決議案を出し、賛成多数で可決された。国会の茶番劇であり、最大の犠牲者は国民であることは分かるが、福田さんが犠牲者だとはどういうことか。数々の法案が審議されず、時間がたつだけだった今国会の終盤を顧みて、政権担当の責任者として感じたのだろう。

 政権運営に当たって政府・与党の責任感が欠如していることは、要人の発言で分かっていた。

 6月10日午後に行われた、町村官房長官の記者会見をテレビで聞いていたが、一瞬ハッとした。「明日、首相問責決議案が参議院で提出されるが」の質問を受け、町村さんは「立法府のやりとりについて、なぜ行政府の長が問責を受けなければならないのかよく分からない」と答えたのだ。

 参議院で審議が進まない理由に「ねじれ国会」があるが、これは国民の選択である。それから民意をくみ取らなければ政権政党としてのセンスはない。

 小泉政権時、国民健康保険法改正での制度設計の結果、高齢者医療制度が実施に移されたら数々の不公平が明確になり、国民の批判の的になった。あわてた政府・与党は制度の見直しを提案したが、その与党案も先送り事項が多く、小幅な見直しになったと新聞は報じた。裏には官僚の制度見直しに対する強い抵抗と財源の問題があると見る。

 福田さんの「指導力のなさ」が低支持率の根拠になっているが、公務員制度改革法案ではあれほど官僚よりの立場を取る福田さん、町村さん、過去官僚の抵抗で、成立は無理と見ていたが、福田さんの英断(?)で急きょ成立することになった。しかしこれも前途多難である。官僚組織は戦々恐々であるが骨抜きを狙っているのは確実だ。

 そして、またまた国家公務員の不祥事、接待タクシーの問題が発覚した。タクシー券の乱用の可能性も出てきたそうだ。官僚が調査して出した結果だから、国民の批判の少ないものを出しているはず。不正に際限はない。

 条約を通すために国会を延長するという。今国会は何をやっているのか、よくニュースを見ないと分からなくなる。

 福田さんが「自分よりもっと犠牲になっているのは国民だ」と言った真意は分からないが、山口2区補選や今回の沖縄県議会議員選に見られるように民意は福田政権から離れている。「国民を犠牲にしないために」は、小泉改革での制度見直しをしっかりやるべきだ。

 衆議院議席3分の2を背景とした横暴な政権運営は、民意ではない。

(記者:矢本 真人)

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