記事登録
2008年06月12日(木) 14時56分

加藤容疑者「携帯依存」、孤立感深め1日200回書き込み読売新聞

 東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、携帯サイトへの書き込みについて、「孤立感を紛らわせるために続けていた」と供述していることがわかった。

 加藤容疑者が記載したとみられる掲示板には、親子や異性関係の悩み、職場の不満などが1日数十回、載っており、「日記代わりだった」とも話しているという。警視庁では、現実社会で孤独感を強め、ネットの世界に傾倒していったとみて、犯行当時の心理状況の解明を進める。

 同庁幹部によると、加藤容疑者は携帯サイトの掲示板に、犯行予告のほかに、日常の出来事や自身が抱えていた悩み、不満などを短い文章で書き込んでいた。書き込みは多い時で1日200回以上あり、自ら「携帯依存」と呼ぶほどだった。これについて、加藤容疑者は「書き込みは日記のように習慣化されたもので、生活の一部だった」「自分のことを知ってもらいたかった」と供述しているという。

 派遣先の「関東自動車工業東富士工場」(静岡県裾野市)の同僚男性によると、交際相手の有無を尋ねた際、加藤容疑者は「彼女はほしいが、過去に色々あって人間不信なんだ」と話していた。「人間は裏切るが、アニメや自分で作ったゲームソフトは裏切らない」とも語った。さらに、工場内でリストラの情報が広まった今年5月下旬、加藤容疑者は「借金を踏み倒して逃げ出してきた。両親は離婚し、自分は住所不定みたいなものだ」と自嘲(じちょう)気味に話したという。

 一方、掲示板の一連の書き込みについて、加藤容疑者は「誰かが見て、自分を止めてほしかった」と供述していることも判明。警視庁では、様々なストレスにより追い込まれている心情を理解し、暴走しそうになる自分を止めて欲しいという意識の表れではないかとみている。

          ◇

 警視庁は12日、被害に遭った17人のうち、12人がナイフで刺され、5人がトラックにはねられて死傷したと発表した。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00522.htm