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2008年06月11日(水) 12時00分

動物園を支える動物レンタルの仕組みとはR25

パンダ、つがいで毎年1億円のレンタル料。リンリンの死で頻繁に報道されたこの事実。えっ、そんなに高いのと思った人も多いと思うが、パンダ以外の動物っていかほどだろう。もしや動物を集めるのって、すごくお金がかかるのでは? ということで、多摩動物公園の教育普及課の成島課長にお話を伺った。

「動物の購入がないわけではないのですが、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の締結以降、売買はかなり少なくなっています。今は、“お互いに持っていない動物を動物園間でトレード”したり“動物園で繁殖して増えた動物を譲ってもらう”などして揃えるケースが多いですね。それと“ブリーディングローン(繁殖のための貸与)で借りた動物を展示する”ケースです。交配相手がいなくて繁殖ができなかったり、近親交配を避けるために、他の動物園から同じ種の動物を借りてくるんですが、その動物を展示させてもらっています。ケースバイケースですが、いずれの場合も基本的には無償でのやりとりが多いですね」

ちなみに、ワシントン条約に抵触する希少動物は、条約締結前に日本に入ってきたものを繁殖させて公開しているケースが多いとか。その結果、繁殖させやすいトラやライオンなどネコ科の動物の数は安定。逆に繁殖が難しいゴリラなどの類人猿は、展示数も減ってきているらしい。

どうしても希少動物が揃わない場合は海外の動物園や政府から借りる場合も。例えば、多摩動物公園はインドネシアの動物園からオランウータンを借りている。この場合、代償に現地のオランウータンを保護するために金銭的、人的な援助を行っている。

成島さん曰く「これからの動物園は、これまで蓄積した飼育や繁殖の知識をいかして、絶滅が危惧される動物を保護する。そして、時期が来たらまた戻せるような環境を作っていく仕事が大事になると思います」とのこと。ただ動物を展示するだけが動物園の仕事ではないのですね。
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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