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2008年06月11日(水) 12時00分

意外と知らない!?職業訓練校の実態に迫ってみたR25

「職業訓練校で学べること」と聞いて、あなたは何を思い浮かべる? おそらく溶接や電気工事など、“ガテン系”の内容を想像する人が多いのでは? さらに漫画『AKIRA』の主人公・金田(設定では職業訓練校在学)が自称する“健康優良不良少年”のような、ちょっと怖いお兄さんたちがいるイメージもあったりして…。

うーん、実際のところはどうなんでしょ? 職業訓練を実施している独立行政法人雇用・能力開発機構に問い合わせてみた。

「それは誤解ですね。真面目に訓練に取り組まれている方が多いですよ。当機構では主として求職(離転職)を対象とした訓練を実施していますが、民間教育機関を通じて実施している訓練の中には、Webデザインやファイナンシャルプランナーなどの“事務系”も増えてきています」

試しに、同機構が提供しているデーターベースで「Webデザイン」を検索してみると、受講できる民間の学校名がいくつか表示された。こうした事務系コースが増設された背景には、雇用情勢の悪化があるという。

「1998年ごろに国の緊急対策の一環として、IT関係や管理事務系などの職業訓練が増大しました。求職者の方を対象とした職業訓練には、当機構の職業能力開発施設で行う『施設内訓練』と、民間の専門学校や各種学校等に委託して行う『委託訓練』がありまして、“民間でできるものは民間で行う”という観点から、事務系の訓練コースは委託訓練を中心に行っています」(同)

通常、民間の専門学校で学ぶためにはそれなりの授業料が発生するものだけど、離職者は無料で済むケースも。さらに交通費まで出るって…ホントに!?

「職業能力開発促進法第23条には、『求職者に対して行う職業訓練は無料とする』と明記されているんです。また、雇用保険受給資格を有する受講生には別途、通所手当などの訓練手当が支給されます。ただし、テキストなど訓練生の所有物となるものに関しては、自己負担ですが」(同)

職業訓練校への入校資格は各対象によって異なる。たとえば、求職者なら「ハローワークの受講指示、または受講推薦を受けている」「受講開始日において離職している」「ハローワークに求職申込みをしている」「原則として受講開始日から遡って1年以内に公共職業訓練を受講していない」等々。決して誰でも申し込めるわけではないが、再チャレンジとしての職業訓練校は貴重な場であることは間違いなさそうだ。

平成19年版厚生労働白書によると、2006年における25〜34歳のフリーター数は92万人。職業訓練校の進化によって、この数字が減少していくことに期待したい。
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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