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2008年06月11日(水) 08時01分

秋葉原無差別殺傷 ツナギなく自暴自棄 加藤容疑者供述 職場トラブルが引き金に産経新聞

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、殺人未遂の現行犯で逮捕された静岡県裾野市の派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が事件を起こした直接のきっかけについて「(勤務先の)ツナギ(作業服)がなくなり、やけを起こした」と供述していることが10日、分かった。携帯サイトの掲示板にも同様の書き込みがあり、警視庁万世橋署捜査本部は、職場のトラブルが事件の引き金になったと判断、それ以前の書き込みを分析するなどして、当時の心理状態の解明を進める方針。

 調べでは、加藤容疑者は昨年11月から裾野市の自動車工場で勤務。6月5日早朝、工場に出勤した際、自分のツナギが見当たらず、壁をけったり、殴ったりするなどして暴れ、そのまま勤務せずに帰宅したという。

 捜査本部の事情聴取に、事件の引き金を「このトラブルです」と一貫して説明。携帯サイトの掲示板も「書いたことに間違いありません」と話しているという。掲示板には、6月5日早朝、「作業場行ったらツナギが無かった 辞めろってか」「鮮やかに帰宅 やってらんね」などと書き込んでいた。

 このトラブルがあった翌日の6日、加藤容疑者は「福井市内でナイフを6本買った」とも供述。うち1本は犯行当日の8日朝にゲーム機などとともに同僚にプレゼントしたと説明、残り5本を持って秋葉原に向かったという。

 ただ2本は車に置いたままにし、靴下と胸ポケットに1本ずつ入れ、「(犯行には)ダガーナイフだけを使った。靴下のナイフは落としたと思う」と話している。供述を裏付けるように現場交差点から未使用のナイフが見つかった。

 また、一連の犯行については「信号は赤で、人を何人かはね、警察官を刺したことまで覚えている」などと話しており、途中から記憶があいまいになっていることも分かった。

 捜査本部は10日、加藤容疑者を殺人未遂容疑で送検した。11日以降、職場トラブルが契機となり、大量殺人に至った詳細について加藤容疑者を追及する方針。

 一方、司法解剖の結果、トラックにはねられ死亡したのは、7人のうち東京情報大2年の川口隆裕さん(19)▽東京電機大2年の藤野和倫さん(19)▽無職の中村勝彦さん(74)−の3人と判明。

 調理師の松井満さん(33)▽無職の小岩和弘さん(47)▽東京芸大4年の武藤舞さん(21)▽会社員の宮本直樹さん(31)−の4人は、刺されたことによる失血死だった。

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