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2008年06月11日(水) 11時34分

「身近な水環境の全国一斉調査」に参加オーマイニュース

 最近、「環境」という言葉を見聞きしない日はない。

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 今月はことに盛んだ。6月5日が「環境の日」で、今月が「環境月間」ということで、環境にまつわるさまざまなイベントなどが全国各地で展開しているからだ。

 6月8日、その関連イベントのひとつ「身近な水環境の全国一斉調査」に参加した。この調査は、かつて各地の市民団体などが独自で行っていた水質調査を、全国で統一の手法により一斉に行うことを国土交通省が呼びかけて、2004年に始まった。今年で5回目となる。

■荒川上流部での測定

 「埼玉県の母なる川」と呼ばれ、東京都の主水源のひとつにもなっている荒川では、起点のある甲武信ヶ岳から東京湾の河口まで173kmの各地で調査が行われた。

 この上流域に位置し、荒川を主なテーマとする埼玉県立川の博物館にある「ボランティアの会」は、5回連続で調査に参加している。この地域の住民として、周辺の水環境の変化を少なからず懸念していた記者は、今回初めて同会の調査に参加させてもらった。

 調査地点は、荒川と支流である宮川と塩沢川の3カ所。

 測定内容は、化学的酸素要求量(COD)、水素イオン濃度(pH)、アンモニウム態窒素(NH4-N)、亜硝酸態窒素(NO2-N)、硝酸態窒素(NO3 -N)の5項目を基本とし、事前に取り寄せた「水質調査キット」(全国水環境マップ実行委員会が配布)を用い、現場で採取した水サンプルをその場でテストした。

 結果、すべての項目において環境省の定める基準を満たしていた。

■水質基準は満たしても、ヤマメやホタルはもう戻らない?

 実際、雨で増水して濁流となっていた荒川以外の宮川と塩沢川で、アメンボ、ザリガニ、タニシなどが確認された。今回の調査結果を見る限りでは、少なくとも「生物が生息する環境として劣悪ではない」ということになる。

 ただし、「以前はヤマメもたくさんいたし、6月にはホタルがわいたのがもう全然いなくなった」との近隣住民の証言もある。基準は満たしてはいても、30年前に比べたら、この地域の河川の水環境もはるかに劣っているのは間違いない。

 調査に参加した同会のメンバーで50代の主婦は、「まだ大丈夫だった」と胸をなでおろしながらも、「でも、この辺は地形的に高低差があるせいで、流れがあるせいでたまらないからまだいいのかも、という気もする。下流はにおいとかあるかも?」と懸念する。

 また現在会長を務める奈良義之さん(66)はこう話してくれた。

 「どのくらい荒川の水がきれいなのか、あるいは汚いのか、子どもたちに(ボランティア活動の)解説をする際に伝えたいという思いで5年間続けている。この 5年で、結果に大きな変化はない。実際、悪くはなっていないように思う。ボランティアで(荒川大模型などの)解説をしていて、子どもたちが納得しているなと、手ごたえをよく感じることからもうなずける。家でも学校でも、いろいろがんばっていることの表れだと思う。だから、悲観はしていない。まあ、今よりきれいになることを期待するのは難しい。せめて、これ以上ひどくならないようにはしたい」

 調査の運営管理を行っている「全国水環境マップ実行委員会」の発表によれば、2007年度は全国47都道府県から計917団体、8151人が参加。毎年6月、「環境の日」に近い日曜日に開催されている。結果は、「水環境マップ」としてまとめられ公開されることになっている。

(記者:下平 真弓)

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