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2008年06月11日(水) 12時08分

言論の力を信じて、自由のために闘うNayla Gibran Tueni ナイラ・ジュブラーン・トゥワイニー/レバノン「アル・ナハール」紙次期編集長COURRiER Japon + hitomedia

05年12月、レバノンのカリスマ的な国会議員ジュブラーン・トゥワイニーがベイルート郊外で爆弾テロによって命を奪われた。乗っていた車は5階建てのビルの高さまで吹き飛ばされ、道路には深さ2mの穴があいたという。彼は同国のリベラル紙「アル・ナハール」の編集長でもあった。
それから約2年半、彼の娘であるナイラ・ジュブラーン・トゥワイニー(25)が注目されている。キリスト教ギリシャ正教徒である彼女は、大学でジャーナリズムを専攻し、国際関係の修士課程を卒業した。父親が暗殺されると彼女はすぐに「アル・ナハール」の幹部に押し上げられた。編集長に就任するのは時間の問題だ。
同紙は1933年にナイラの曾祖父が創刊し、現在、発行部数4万部を誇るレバノンの最大紙で、アラブ世界で最もリベラルな新聞だと言われている。ナイラが編集長になれば、家父長制の強いレバノンで初めて女性が新聞社のトップに立つことになる。 同紙は政治に介入してくる隣国のシリアに対して厳しい論調を張り、05年の民主化運動「杉の木革命」にいたる道を築いた。「レバノンを守るためには、キリスト教徒とイスラム教徒が永遠に一致団結していくべきだ」と説いたのである。
レバノンでは親・反シリア派の対立のために07年末から大統領の不在が続き、5月末キリスト教徒のミシェル・スライマーンが選出された。しかし就任直前に暗殺され、国内の混乱は続いている。そんななか、ナイラは「闇と光をわけるもの、それは言葉だ」という父親の言葉を胸に自由のために闘い続けている。

フランクフルター・アルゲマイネ(ドイツ)より。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080611-00000000-cou-int