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2008年06月10日(火) 20時55分

高い殺傷力ナイフ、販売・所持に規制なし 秋葉原通り魔産経新聞

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で使用された凶器は、「切る」よりも「突く」ことに特化した殺傷力の強い両刃のダガーナイフだった。加藤智大(ともひろ)容疑者(25)はこの「凶悪な武器」を制約なしに購入した。現行の銃刀法では刀身が15センチ未満なら所持していても問題はなく、売買にも規制がない。泉信也国家公安委員長は10日の閣議後会見で、「これからの課題として(改正などを)慎重に考えていく」と表明した。
 約100本のナイフを扱う都内のミリタリーショップ。ダガーナイフも5本取り扱っている。「年齢だけは確認してますが、それだけです。成人ならほぼノーチェックで売ります」。店員はさらりといってのけた。ナイフは若者を中心に3000〜1万円程度のものが売れるという。
 加藤容疑者が使用したタイプのダガーナイフも殺傷能力はきわめて高かった。「ふり下ろす動作もなく、気づかれにくい。通り魔に使わせてはいけないナイフ」(ナイフ雑誌関係者)という。
 銃刀法は刃渡り6センチを超える刃物を理由なく持ち運ぶことを禁じているが、15センチ未満なら所持は禁じられていない。ダガーナイフは多くが15センチ未満で、危険な刃物にもかかわらず「キャンプに向かう」などの理由があれば所持が可能だ。
 販売に際しても「身分確認が必要」といった規制はない。ナイフを扱う店が顔写真付きの身分証明書の提示を求めるケースもあるが、あくまで自主的な措置。ナイフ雑誌関係者は「新興のミリタリーショップなどチェックがない店も多い」と“業者まかせ”の現状を語る。
 インターネットによる販売は、もっと深刻だ。岐阜県の専門店ではダガーナイフを含む500種類以上のナイフを取り扱っているが、ネットでの売り上げが9割以上。この店は購入者に年齢をたずねるだけで、基本的にはだれにでも販売している。「最近年齢を偽って18歳未満が買う例が絶えない。自宅に届いた小包を見てびっくりした親が送り返してくることもある。ネット販売ではチェックしようがない」(同店店長)のだという。

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