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2008年06月10日(火) 15時44分

無差別殺傷 書き込み1日100件 加藤容疑者、自ら「携帯依存」と表現 産経新聞

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、殺人未遂の現行犯で逮捕された静岡県裾野市、派遣社員、加藤智大容疑者(25)によるものとみられるインターネットの携帯電話サイトの書き込みを事件直前、1日に100件のペースで行っていたことが10日、分かった。書き込みは、約1カ月間で約3000件に及んでおり、専門家は「自分が描いたシナリオへの強いこだわりやプライドがにじむ」と分析。万世橋署捜査本部は犯行経緯や心理状況の変遷を示す資料としてサイトの記述内容の解析を進めている。 調べなどによると、同容疑者とみられる携帯電話サイトへの書き込みは今年5月上旬からの1カ月間だけで約3000回で1日あたり約100回の計算。職場の同僚も「(加藤容疑者は)携帯電話でいつもニュースなどを見ていたし、とにかくよく触っていた」と証言しており、自分のことを「携帯依存」と表現する部分もあった。

 一方、加藤容疑者は警視庁の調べに「人生に疲れた」と供述。最近は小、中学校時代の友人が連絡しようとしても応答がないなど孤立感を強めていたという。

 携帯電話サイトへの書き込みについて、ネット社会に詳しい「全国webカウンセリング協議会」の安川雅史理事長は「個人の日記と違うのは、『誰かに見てもらいたい』『見ている人がいるはずだ』という意識が前提になっている点」と指摘するが、実際にそうした思いが報われることはほとんどないという。

 安川理事長は「一方的なつぶやきのようなものは相手にされない。書き込んでいる本人はますます孤独を深め『いつかは誰かが気付いてくれるはず』と独り言のような言葉を積み重ねる」と分析する。

 これまでの調べでは、犯行に直接関係ある書き込みは「秋葉原で人を殺します」と記述した事件約7時間前の8日午前5時21分からのもの。「神奈川入って休憩」「酷(ひど)い渋滞」などと現場に向かう様子が「実況中継」のように続いた。

 東京都精神医学総合研究所の妹尾栄一研究員(精神医学)は、書き込みの中の「使う予定の道路が封鎖中とか やっぱり、全てが俺の邪魔をする」(午前6時10分)、「これはひどい雨 全部完璧に準備したのに」(午前7時半)−などに注目。

 「自分が描いたシナリオへの強いこだわりやプライドがにじむ。一方で『何者かに妨害されている』と邪推する被害妄想の可能性も感じさせる」と述べている。

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