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2008年06月10日(火) 01時56分

雨の秋葉原の交差点、終日途切れず友人・地元住民が献花読売新聞

犠牲者を悼む人たちの花でいっぱいの献花台に向かい、手を合わせる人たち=9日夜、東京・秋葉原で

 東京・秋葉原で8日白昼に起きた通り魔事件──。凶行の現場となった秋葉原の交差点には9日朝、犠牲者を悼む献花台が設けられた。

 雨模様の中、終日途切れることなく友人や地元住民らが訪れては花束を手向け、手を合わせた。

 東京芸大4年の武藤舞さん(21)の高校時代の同級生という埼玉県草加市の女子大学生(21)は、「カラオケがうまく、バンドも組んでいた」と振り返り、中学時代に一緒にアメリカに短期留学したという大学生本間和基さん(21)は「1月に会ったときに『音楽の仕事に就きたい』と夢を語っていたのに」とうつむき加減に話した。

 東京情報大2年の川口隆裕さん(19)と小学生のときに同級だったという品川区の男子大学生(19)は、「互いの家を行き来し、毎日のようにテレビゲームをやっていた。もっと一緒に遊びたかった」と沈痛な面持ちで語った。

 午前10時に設けられた献花台だったが、すぐに花束でいっぱいになり、正午過ぎには机が増やされた。

 ◆むせび泣く家族◆

 命を奪われた被害者は9日夕から夜にかけて、次々と無言の帰宅をした。

 藤野さんのひつぎは9日午後8時40分ごろ、埼玉県熊谷市の自宅に運び込まれた。待っていた女性が「カズちゃんが帰ってきたよ」と家の中へ呼びかけると、家族や親類がむせび泣きながら迎え入れた。

 宮本さんの遺体は午後10時すぎ、同県川口市の実家に、父の惇彦(あつひこ)さん(60)とともに車で到着。ひつぎを運び終えた惇彦さんは報道陣に一礼して自宅に入った。

 武藤さんの遺体は白い布に覆われて9日午後5時20分ごろ、東京都北区の自宅へ。雷が鳴り響き、大粒の雨が降り注ぐ中、同じマンションの住民らが廊下で様子を見守り、手を合わせて冥福(めいふく)を祈っていた。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00394.htm