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2008年06月09日(月) 00時00分

社会に理不尽な恨みか アキバ標的、計画性も中国新聞

 市民を無差別に殺傷する事件がまた繰り返された。八日、東京・秋葉原で起きた通り魔事件。逮捕された加藤智大かとう・ともひろ容疑者(25)は「世の中、嫌になった。誰でもよかった」と供述。この日は児童八人が殺害された大阪教育大付属池田小の事件から七年。識者は容疑者の疎外感や計画性を指摘し「社会への理不尽な恨みが背景にあるのでは」との声も上がった。

 無差別事件は今年だけでも、東京都品川区の商店街で男女五人が高校二年の男子生徒に包丁で切りつけられた事件や、茨城県土浦市で男女八人が男に包丁で刺されて一人が死亡する事件が起きている。

 加藤容疑者は、レンタカーのトラックで歩行者天国に突っ込み、サバイバルナイフで次々と通行人らを刺した。

 ジャーナリストの大谷昭宏おおたに・あきひろさんは「同世代の若者らが集まり、休日を楽しんでいる場所が狙われた。社会への理不尽な恨みや、自分だけが取り残されているという疎外感が凶行につながったのではないか」と推測。レンタカーを使うなど計画性がうかがわれ「池田小事件と同じ日というのも、偶然ではないという気がする」と話した。

 藤本哲也ふじもと・てつや中央大教授(犯罪学)は「格差やワーキングプア(働く貧困層)が問題となる中、社会に適合できずに不満を爆発させるタイプの犯罪が起きている。米国では断続的に銃乱射事件が起きているが、犯罪の米国化が進んでいるともいえる」と指摘する。

 一九九九年に起きた東京・池袋の通り魔事件で長女を殺害された宮園誠也みやぞの・せいやさん(73)は「娘の事件と同じように社会に対するうっぷん、不満があるのでは。格差問題など社会状況も背景にあるのかもしれないが、正当化はできない。被害者には何の落ち度もない。同じような事件が繰り返され言葉もない」と話した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200806080261.html