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2008年06月09日(月) 00時16分

秋葉原で通り魔、7人死亡10人重軽傷 25歳男を現行犯逮捕中国新聞

▽「人殺すため来た」と供述 過去30年最悪の被害

 八日午後零時半ごろ、東京都千代田区外神田一丁目のJR秋葉原駅近くで、トラックが歩行者天国の通りに突っ込み、通行人をはねた。運転していた男は車から降り、数分間にわたって通行人らを次々にサバイバルナイフで刺し、七人が死亡、十人が重軽傷を負った。警視庁万世橋署員らが現場で男を取り押さえ、殺人未遂の現行犯で逮捕した。

 警視庁などによると、男は静岡県裾野市富沢、派遣社員加藤智大かとう・ともひろ容疑者(25)。調べに対し「人を殺すため秋葉原に来た。世の中が嫌になった。誰でもよかった。きょうは一人で来た」と供述しているという。警視庁は同署に捜査本部を設置、動機などを調べている。

 通り魔事件としては、過去三十年で最悪の被害とみられ、無差別殺傷事件では、七年前の六月八日に起きた大阪の校内児童殺傷事件の八人に次ぐ死亡被害者となった。

 捜査本部によると、死亡したのは、松井満まつい・みつるさん(33)=神奈川県厚木市=ら十九—七十四歳の男性六人と東京芸大四年、武藤舞むとう・まいさん(21)=東京都北区。七人のうち少なくとも六人はナイフで刺され、二人はトラックにはねられていた。

 重軽傷は同署交通課の警部補(53)ら男性八人と女性二人。警部補は路上ではねられた人の救護に当たっていた際、背中を刺され重傷を負った。

 調べによると、加藤容疑者は車が通行できる神田明神通りから歩行者天国の中央通りにトラックを乗り入れ、三—四人をはねた後、中央通りとの交差点を越えて停車。トラックから降りて中央通りに向かい、次々に通行人らに襲いかかった。

 近くの交番の警察官は人がはねられた音を聞いて現場に駆けつけ、ナイフを持った加藤容疑者を発見。警棒で数回殴ったが逃げたため、拳銃を抜いて警告したところ、加藤容疑者はナイフを捨てた。非番で居合わせた蔵前署の警察官らとともに取り押さえたという。

 ナイフは全長二十三センチ(刃渡り十三センチ)。トラックは静岡ナンバーのレンタカーだった。加藤容疑者は人材派遣会社が契約しているマンションに住み、静岡県内の自動車部品工場で働いていた。

 秋葉原は海外からも観光客が訪れる電気街。最近は「メード喫茶」やアニメショップなどが進出し「オタクの街」とも呼ばれる。現場の周辺は当時、買い物客らでごった返していた。

【写真説明】<上>路上に倒れた被害者に人工呼吸を施す人たち=8日午後0時52分、東京・秋葉原(橋本浩さん提供)<中>東京・秋葉原の通り魔事件で、警官に取り押さえられた容疑者(右端)=8日午後0時30分ごろ(提供写真)<下>通り魔事件が起きた現場の交差点を調べる捜査員ら=8日午後4時16分、東京・秋葉原

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200806090085.html