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2008年06月09日(月) 14時11分

【秋葉原通り魔事件】「ぶん殴ってやりたい」川口隆裕さん父 藤野和倫さんとは友人同士産経新聞

 犠牲となった千葉県流山市南流山の東京情報大学2年、川口隆裕さん(19)さんの父、健(たけし)さん(53)が9日、自宅前に詰めかけた報道陣の取材に応じ、「(犯人に)おれの息子をよくも殺したなと言いたい。ぶん殴ってやりたい気持ちだ。こういうことはもう起きてほしくない」と憔悴(しょうすい)した様子で語った。

<<写真で追う>>別の刃物も所持 過去30年最悪の通り魔被害か

 健さんは外出先から8日午後9時ごろ帰宅、妻の薫さん(48)の置き手紙で事件を知った。「信じられない気持ちだった。現実を受け止められなかった。何ていうことをしてくれたんだと感じた」

 すぐに警視庁万世橋署に駆け付け、変わり果てた遺体と対面した。「夢であってほしい。顔に血が付いていて、『痛かっただろう』と思った。悔しい思いでいっぱいで、何で助けてやれなかったのかと…」

 隆裕さんは一人息子。地元の小中学校、二松学舎沼南高校(千葉県柏市)を卒業した後、昨春に東京情報大に入学、情報システムなどを学んでいた。事件で亡くなった藤野和倫さん(19)=埼玉県熊谷市=とは友人同士で、2人を含む数人で現場にいて犠牲になったとみられる。

 加藤智大容疑者が「(殺害するのは)誰でもよかった」と供述していることについて、健さんは「絶対に許せないが、こういった人間を救済する社会のシステムを作らないと、またこういったことが起きる。若い人が希望をもてる社会にしてほしい」とも訴えた。

 隆裕さんについては「本当に優しい子だった。服装がだらしないとか返事をしないとか不満もあったが、亡くなると非常に悲しい。生きていてほしかった」と声を絞り出した。

 事件当日の8日、健さんは午前5時ごろに起床。ふだんは寝坊がちな隆裕さんも起きていて「出掛けてくるから」「ああ、そうか」が2人が交わした最後の言葉となった。

 健さんと一緒に玄関先で応対した薫さんは無言のまま、目を真っ赤に泣きはらしていた。

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