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2008年06月09日(月) 11時54分

<秋葉原通り魔>無差別の凶刃「許せぬ」 悲しみの遺族毎日新聞

 東京・秋葉原で8日起きた通り魔事件で、無差別に襲われた被害者たちは、東京都内の救急病院に次々と運び込まれたが、8日夜までに7人が亡くなった。「無念だったはず」。遺族らは怒りと悲しみにくれた。

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 ◆大学生、武藤舞さん(21)

 通学していた北区立浮間中によると、武藤さんはテニス部に所属し、3年時には都大会にも出場した。テニス部の顧問だった荒木秀治教諭は9日、取材に「誰からも好かれる子だった。『人違いであってほしい』と思ったが本当に残念」と話した。都立日比谷高時代の同級生だった男子大学生(22)は「ムードメーカーだった。悔しい気持ちでいっぱい」と事件への怒りをあらわにした。武藤さんは東京芸大の音楽学部に進み、音響や録音の技術を学んでいた。

 ◆無職、中村勝彦さん(74)

 今年3月に引退するまで東京都府中市で夫婦で歯科医院を開いていた。当日は、秋葉原に長男とパソコンなどの買い物のため出かけたという。妻(74)は「無念としか言いようがない。まだ主人はやりたいことがたくさんあったと思います。たぶん、子どもたちや孫の将来を心配し、こういうことが二度とないようにと思ってるかなと思います」と悲しみを押し殺して語った。

 ◆大学生、藤野和倫(かずのり)さん(19)

 父親によると「友達とパソコンの部品を見に行く」と午前中から出かけたという。両親は9日午前1時過ぎ、都内の病院からタクシーで帰宅した。父親は「あまりにも突然のことで悔しくて仕方ありません。悪い夢を見ているよう」と言葉を詰まらせた。

 ◆調理師、松井満さん(33)

 神奈川県厚木市の小学校時代の担任だった浅見照枝さん(58)は「荷物を持っていたりすると『手伝うよ』と言ってくれるような、優しくて繊細なお子さんだった。なぜこんな事件に巻き込まれたのか」と肩を落とした。

 ◆無職、小岩和弘さん(47)

 遺族は警視庁を通じてコメントを出した。「大切な家族をこのような事件で突然失った思いは、皆様のご推察とたがうことはないと存じます。とにかく今は憔悴(しょうすい)し、夜も眠ることができません。私達は故人をしのんで静かに見送りたいと存じます。一切の取材についてお受けできかねますので、どうか主意をおくみとりいただきたく存じます」と記されていた。

 ◆会社員、宮本直樹さん(31)

 埼玉県蕨市の自宅アパートには9日午前11時前、父親という男性が訪れた。室内にいったん入った後の帰り際、「残念だ。こういうことが二度と起きない社会になって欲しい」と怒りを込めた。

 ◆大学生、川口隆裕さん(19)

 父で会社員の健さん(53)によると、隆裕さんは友人ら4人で買い物に出掛けて事件に遭った。健さんは「夢であってほしい。悔しい気持ちでいっぱい。たとえ生活などがいかに苦しい状況であっても、八つ当たりのように人を殺したりしてはいけない。同情の余地はない」と話した。

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