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2008年06月09日(月) 21時50分

<スパムメール>企業の受信メールの3割、1社1日約3万8000通 シマンテック調査毎日新聞

 事前同意なく一方的に送られてくる宣伝、会員募集、勧誘などスパムメール。「客からのメールと区別がつかない」「同じメールが複数ドメインから届き、防げない」など、企業にとっては悩みの種だ。国内の企業が1日に受け取るメールの3割、約3万8000通がスパムであることが、セキュリティー大手シマンテックの調査で分かった。同社が初めてスパムを確認してから今年で30年。約300通送られたという第1号スパムから、被害は増えるばかりだ。

 調査は、3、4月に企業のネットワーク管理者と、社員で電子メールの利用者を対象にウエブアンケート方式で実施。ネットワーク管理者534件、利用者848件の回答があった。業種はシステム開発業、製造業、サービス業など。

 ネットワーク管理者によると、企業が1日に受け取るメールは平均11万5000通。うち平均32%がスパムで、受信比率は04年の16%から倍増した。スパム対策の導入率は05年の39%から63%と大きく伸びているが、ウイルス対策の9割に比べるとまだ低い。対策方法として最も多いのは「サーバー用のスパム対策ソフト」(43%)で、昨年最多の「ユーザーによる手動削除」を逆転した。

 スパムメールを処理する時間は利用者1人当たり1日平均5分。100人の企業では計8時間になる。「顧客からの問い合わせを模したタイトルのメールが来ると、目を通さざるを得ない」「フィルターの誤判定が多い」などの煩わしさのほか、スパムの送信元に自分のアドレスが使われていることなどから、個人情報の漏洩や社会的な信用を失うことへの不安も抱える。

 同社では「送信者の成りすましが可能な今のメールシステムには限界がある。個人認証システムを導入する動きはあるが、普及は見えていない。企業でもメール管理を個人に任せており、情報漏えいの危険がある。構造的な見直しが必要かもしれない」とみる。

 シマンテックが史上初とするスパムは1978年5月に送信されたコンピューターメーカーの宣伝メール。インターネットの原型とされるアーパネットを通じて約300通送られたという。同社のディーン・ターナー・ディレクターによると「家のポストに入れるちらしをデジタル化したものだが、非常に評判が悪く、遡って第1号ということになった」と説明した。【岡礼子】

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