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2008年06月09日(月) 09時53分

悪徳不動産業者はこうやって客をダマす(上)オーマイニュース

 都内に住む知り合いから、不動産に関する相談がありました。その方には、兵庫県で暮らすお嬢さんがいます。そのお嬢さん夫婦に起こったトラブルについての相談でした。

 ご夫婦は業者(=売主)から紹介された物件(建築条件付売り地)が気に入り、2008年5月2日に土地の売買契約を締結しました。同時に「建設工事請負契約書」も締結しました。

 ただ、ご夫婦は一連の契約を交わしたものの、そのやり方・内容に疑問を持ち、他にも様々な懸念材料が出てきたことで、今回は解約したいと思うに至ったのです。

 そして解約を電話で申し出たところ「手付金は返さない」と言われました。手付金は本当に戻してもらえないものなのか教えてもらいたい、というのが私への相談でした。

 「建築条件付売り地」とは、指定された期間内(本件の場合は土地契約後3カ月以内)に建物を施工する「請負契約」を締結することが、土地契約を成立させる条件になる契約です。

 つまり土地の契約を済ませていても、建物の請負契約が成立しなければ、土地の契約は白紙に戻り、受領した手付金は無利息・無条件で返金される契約です。

 私はお嬢さん本人から事の経緯一切について聞き、この契約が不法な状態で交わされている実態を知りました。私は業者に非があることを説明するとともに、手短に交渉のポイントだけを説明しました。

 ご夫婦は私の説明に希望を持ったようでした。しかし、業者の今までの対応を考えると、穏便には済まないだろうという危惧も持っていました。「正当に返金してもらえる権利があるなら返金してもらいたい」と言う一方、もし相手がごねて話し合いが長引くようなら、たとえ相手に非があっても、支払った手付金(200万円)の返金請求は諦めるという考えでした。

 6月1日(日曜日)、ご夫婦は売主業者に出向いて、改めて解約の申し出をしたうえで、手付金の返金を求めたそうです。しかし予想していた通り、業者は返金に応じてはくれませんでした。

 ご夫婦は争うことを善しとせず、手付金200万円は諦めて帰ってきたそうです。

 × × ×

 私は兵庫県庁に連絡を入れました。兵庫県には「不動産業指導係」があり、登録されている不動産業者の概要を調べることが出来ます。

 調べると、この業者は2004年と05年、常勤させるべき専任の宅地建物取引主任者がおらず、県から指導・文書通告がされていました。

 不動産業指導係には本件の概要を連絡しました。担当者からは「よくあるトラブルのケース」「あってはならない取引」と認識されていました。また県としても不動産協会などを通じて注意喚起をしているとのことでした。

 担当者からは「被害者が窓口にきて具体的な資料をもとに説明してもらえば、業者に対して事情を聞いたうえで、必要な対応をとります。」との回答をいただきました。

 ただし、県には手付金返還を実行させる権限がないので、それについては不動産保証協会などへの訴えによって、対処してもらいたいとのことでした。

 本件のような不法行為がまかり通っては、全国で更なる被害者がでてくるでしょう。そこで、オーマイニュースのサイト上で手口の概要を公表し、被害の拡大を防ぎたいと思います。

 以下、悪質契約の手口の概要と、トラブルを回避するポイントをお伝えします。

につづく)

(記者:星野 文孝)

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