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2008年06月08日(日) 11時44分

死後すぐケースに詰められ現場に1年? 栃木・女性遺棄朝日新聞

 栃木県塩谷町風見山田の町道脇でスーツケースに入れられた女性の遺体が見つかった事件で、矢板署捜査本部は、女性は死後間もなく現場に遺棄されたとする見方を強めている。遺体は死後1年以上経過しているとみられ、女性の身元の特定作業は難航している。事件は8日、発覚から1週間を迎えた。

 黒のスーツケースは1日、ごみ拾いをしていた付近住民が、林道脇の茂みに逆さまに置かれた青色の2人掛けソファの下から発見した。

 スーツケースの下だけ草が生えていないため、スーツケースはかなり前から現場にあったとみられる。捜査幹部は「遺体は死後すぐにスーツケースに詰められて遺棄されたと考えるのが妥当だ」。その上で「断定は出来ないが、犯人がソファを上に置いてスーツケースを隠したのではないか」と推察する。

 そのソファはスーツケース全体を覆うような状態だった。第1発見者の住民も「スーツケースを隠すため、ふたをするように置かれていたように感じた」と話す。ソファは付近住民が昨年9月1日の草刈り時に撮影した写真に写っており、少なくともそれ以前から遺棄現場にあった可能性が高いこともわかった。

 ただ、付近住民によると、遺棄現場は十数年前から家電や生活ごみの不法投棄が目立つという。そのため、ソファが犯人の隠匿工作なのか、それとも第三者が偶然捨てただけなのか、その判断は難しく、捜査本部は両者の関連を慎重に調べている。

 遺体が入れられたスーツケースは約3千個が流通しているが、関東地方を中心に展開するホームセンターが主な卸先という。06年から製造販売されており、女性は06〜07年の間に死亡し、スーツケースに詰められた可能性が高い。

 スーツケースは粘着テープやビニールひもで目張りされていたが、ダイヤル式と鍵穴式の計三つの鍵はいずれも施錠されていなかった。遺留品から指紋などは検出されず、女性の着衣以外の手がかりは得られていないという。複数の捜査幹部は「モノから女性の身元をたどるのは正直難しい」とこぼす。

 司法解剖の結果、骨格などから遺体は25〜35歳ぐらいのアジア系女性で、残ったつめの一部から血液型はA型とわかった。八重歯で虫歯の治療跡が奥歯に1カ所あった。さらに虫歯予防の処置をした形跡も確認されたという。特異な外傷や骨折の跡はなく、死因は不明のままだ。主に県内で家出人捜索願の出ている女性を調べているが、今のところ該当するような届け出はないという。

 事件に関する情報提供は矢板署捜査本部のフリーダイヤル(0120・301・607)へ。

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