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2008年06月08日(日) 20時35分

刃物男、奇声あげ次々襲撃…目撃者「腹や胸、何度も刺した」読売新聞

通行人が見つめる中、対応に追われる警察官や消防隊員(8日午後1時17分、東京・秋葉原で)

 ナイフを持った男は、歩行者天国で通行人を次々と切りつけていった——。東京・秋葉原で8日白昼に起きた通り魔事件。猛スピードのトラックで人込みに突っ込んだ男は、奇声を上げながら刃物を振り回した。

 お年寄りが血を流して倒れ込み、家族連れが悲鳴を上げて逃げまどう。買い物客でごった返す休日の電気街を悪夢が襲った。

 「トラックから刃物を持った男が降りてきた。最初は普通に話していたのに、突然、自分がはねた人に馬乗りになった。大声でわめきながら腹や胸を何度も刺した」。事件を目撃したフリーターの男性(19)は恐怖に表情をこわばらせた。

 加藤智大容疑者(25)のトラックが突っ込んできた交差点近くの電器店の男性店員(34)によると、トラックはほとんどスピードを緩めずに突っ込んできた。運転席から出てくると持っていたサバイバルナイフで何度も刺した後、自分がはねた別の男性にも馬乗りになって刺した。人が集まって止めようとすると、ナイフを振り回して抵抗した。

 別の男性店員(33)は午後0時半ごろ、ドーンという音を聞いて、店舗6階の窓から見下ろすと、横断歩道と交差点の真ん中に2人の男性が倒れていた。警察官が倒れている男の人に駆け寄り、しゃがんで話しかけていると、白いジャケットを着た加藤容疑者が後ろから近寄り、いきなり腰のあたりを刺したという。

 千葉県から遊びに来ていた大学院生(29)は「周りで『刃物を持った男がいる、逃げろ』という声が聞こえ、あわてて逃げた。しばらくして現場に戻ると、刃物を持った男の姿が見えて足がすくんだ」。

男が歩行者をはねたトラックを調べる捜査員(8日午後2時35分、東京・秋葉原で)

 現場近くの電器店の店長(50)は、ナイフを持った加藤容疑者を追いかけてきた警察官が目の前で制圧するのを見た。ナイフを振り回す加藤容疑者に警察官が警棒で応戦し、しばらく渡り合った後、にらみ合いになった。警察官が拳銃を構えると、加藤容疑者は観念したように路上にナイフを捨てて、取り押さえられたという。

 警察官らが飛びかかって加藤容疑者をシャッターに押さえ付けて、取り押さえた。加藤容疑者は額から血を流していて、両脇を抱えられながら、パトカーに連行されていった。

 買い物に来ていた男性(35)は、逮捕現場の近くで男性と女性が倒れているのを見つけた。うつぶせに倒れていた女性は「大丈夫ですか」と呼びかけると、かすかにうなずくしぐさを見せたが、男性はまったく反応しなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080608-OYT1T00403.htm