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2008年06月08日(日) 20時31分

アキバの路上はパニックに、病院に駆け付けた遺族ぼう然読売新聞

通行人が集まり騒然とする現場。上部の白っぽい車両は容疑者が運転してきたトラック(8日午後1時41分、東京・秋葉原で)

 被害者が搬送された都内の各病院では懸命の治療が続いたものの、次々に死亡が確認され、駆け付けた遺族らはぼう然とした。

 「無念としかいいようがない」。東京・港区の東京慈恵会医科大付属病院で亡くなった男性(74)の妻(74)は、消え入りそうな声で話した。

 妻の話によると、男性はこの日、長男と2人で買い物に出かけ、事件に巻き込まれ、トラックにはねられた。「昼ご飯を食べてくるからね」。2人は元気に出かけていった。突然の事件に、長男も「気がついた時には父親がいないのでびっくりした。その時のことはよく覚えていない」とショックを受けた様子だったという。「正義感の強い人だった」と妻は振り返り、「やりたいことがたくさんあったでしょう」と悔しさをにじませた。

 47歳の男性1人が運ばれた新宿区の東京女子医大病院では、救急隊員が慌ただしく救命救急センターを出入りした。後藤博・同大広報室長によると、男性は午後1時45分ごろに運ばれ、蘇生(そせい)処置と止血のための手術が行われた。しかし、男性には背中から肺にまで達する刺し傷があり、約30分後、失血死が確認された。墨田区の都立墨東病院にも、埼玉県蕨市の男性が搬送され、心臓マッサージなどの治療を受けたが、死亡が確認された。

 文京区の東京医科歯科大付属病院には男女3人が運ばれ、このうち武藤舞さん(21)の死亡が午後4時30分に確認された。同病院によると、武藤さんは右脇腹を刺された傷が、肝臓まで達していた。残り2人も重傷だが、意識はあるという。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00395.htm