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2008年06月06日(金) 15時30分

ヒラリー副大統領は最悪の選択肢?ダイヤモンド・オンライン

 米民主党大統領予備選の“戦後処理”は予想以上に紛糾しそうだ。

 6月3日の最終戦の結果、バラク・オバマ上院議員が歴史的な激戦を制して勝利宣言にこぎつけたことを受けて、焦点はすでに副大統領候補選びに移ったが、敗れたヒラリー・クリントン上院議員の処遇を巡って、党の中枢が真っ二つに割れているためだ。争点は、いわずもがな、クリントン氏の副大統領候補指名の是非である。

 オバマ陣営内には、クリントン氏を副大統領候補に選ぶべきではないとの声が根強い。5ヶ月に及ぶ泥仕合で増幅された感情的な「ヒラリー・アレルギー」もさることながら、なにより変革者を標榜するオバマ氏のイメージを損ねるというのがその理由だ。

 民主党のある関係筋は、「あれだけワシントンの古い政治を批判しておきながら、元ファーストレディのクリントン氏をホワイトハウスに招くことは、自己矛盾以外の何ものでもない」と手厳しい。選挙戦終盤にオバマ氏支持に回った、ジミー・カーター元大統領も、CNNとのインタビューで、「最悪の組み合わせ」と酷評した。

 だが一方で、クリントン陣営からは、ここまで接戦を演じてきたクリントン氏の副大統領候補指名を当然の権利として求める声が燎原の火のごとく広がっている。特にクリントン氏の元側近らが立ち上げたプロジェクト「VoteBoth(2人に投票を!)」の動きは活発で、オバマ&クリントンのドリームチケット(夢の組み合わせ)の実現を求める1万人以上のサポーターたちが署名活動をネット上で展開。党幹部への働きかけを強めている。米ウォールストリートジャーナル紙によれば、大物黒人実業家のロバート・ジョンソン氏も、ドリームチケット実現に向けて、党幹部の説得に動き始めたという。

こうした動きに苛立つオバマ陣営からは、「裏でクリントン氏が動いているのでは」との批判も高まっている。渦中のクリントン氏は、党内の亀裂が深まることを恐れてか、5日に、「自らは副大統領候補になることを求めていない」との声明を出した。7日の敗北宣言でも同じ言葉を繰り返すと見られている。しかし、ドリームチケットを求めるクリントン陣営の動きは日増しに活発化するばかりである。

 党の再結束を急ぐオバマ氏はどう出るのか。米メディアによれば、オバマ氏は記者団に対して「クリントン氏ならば、誰のショートリスト(最終候補者)にも入る」と語ったという。ちなみに、オバマ氏のショートリストには、カンサス州知事のキャサリーン・セベリウス氏ら、同氏の弱点である白人労働者層、女性層の支持確保を意識した候補も入っているといわれる。

 知名度で最強のタッグを組むか。それとも変革のメッセージを重視するか。前者の道を選べば、身内のオバマ陣営を落胆させ、後者ではクリントン陣営との亀裂が深まる。どちらの道を選ぶにせよ、オバマ氏は戦後処理半ばで、共和党との本選に突入することになりそうだ。

(ダイヤモンド・オンライン副編集長 麻生祐司)


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