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2008年06月06日(金) 19時53分

後期高齢者医療──福田さん、この声が届かぬかオーマイニュース

 福田康夫首相は4日、ローマ市内で記者団に対して、毎年2200億円ずつ社会保障費を抑制する方針を堅持すると言った。一方、6日、民主党など野党の賛成多数で後期高齢者医療制度廃止法案を参議院で可決。衆議院に送付された。自民党も余りの反響の大きさに制度の見直し検討を言い出した。下手をすると命取りになりかねない。

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 そんな中、「高齢者いじめの悪法中止・撤回要求座りこみ団」の人事院前での抗議行動が注目を浴びている。

 「この制度は75歳以上は早く死ねと言わんばかりの悪法、差別医療で、年金から断りなく天引きすることは窃盗だ。戦争中は命を投げ出し耐え、戦後は復興に励んだ。その労苦に老人医療無料化で慰労すべきだ。年よりの意見を聞かない政府に明日はない。高齢者を粗末にする国に明日はない」。

これが座りこみ団の宣言だ。

  6日は共産党の議員も激励に訪れ、海外のメデイアの取材を受けるなど主催者は大忙しだ。海外メデイアは「何を抗議しているんですか」と通訳を介して主催者に聞いてきた。主催者は、高齢者の医療制度、年金制度など説明し「後期高齢者医療制度に強く反対する」と訴えていた。海外の人にどの程度理解されるのか。

 海外の人は、痛みを伴う改革に何の文句も言わないおとなしい日本人を不思議がっていた。が、これで「反対する抗議行動」をとるんだと言うことが分かっただけでも意味がある。

 「3日間でどのくらいの人が参加しましたか」

と聞くと、主催者は、

 「100人ぐらいでしょうか。テレビが5〜6社報道してくれ、特にテレビ朝日は昨日も40分ほど放映してくれた。テレビを見た人があの人達の言うことは間違いない。一度会ってみたいと10人ほどが来てくれた。また2件ほど事務所に問い合わせがあった」

と説明してくれた。

 「この団体は政党に関係あるんですか」

と聞くと、

 「全く関係ありません。自民党、公明党、民主党など各党に招待状を送ったが、激励に来てくれたのは共産党だけだ」

という。今国会は同法案のほか、問責決議案などで大変な時であることは分かるが、あれほど反対の畑を振っている民主党が激励に来ないのはどうしたことか。

 昼前の総括で、K議員は「一度決まった制度を廃案にするなんて、無責任だ」という声もあるが「この制度を続けることこそ無責任だ」と廃案を主張、参議院へ帰っていった。

 主催者側は、「天下の悪法を今すぐ中止、撤回すること」、「高齢者に関する施策は年寄りの意見を聞け」、「国会を直ちに解散し、民意を問うよう総理大臣に進言せよ」と舛添大臣に要求した。

 厚生労働省前にも行ってみたが、ここには誰も抗議行動をしていない。主催者に

 「どうして厚労省前でやらないのか」

と聞くと、

 「あそこは場所も狭いし、警察もうるさい。文句も言われるが、ここの役所は所管事項でもなく文句も言わない」

と言って笑う。私見では、役所と言うところは、前任者がやったことを批判したり、見直したりすると、役所内での立場がなくなり、天下りなどの優遇処置も受けられなくなる。だから一度つくった制度の見直しなど期待できない。

 税金を娯楽費などに流用する悪例が横行しているが、これには法的裏付けがあり違法ではないらしい。だったらその法令の条項を削除すればと思うが、総務省の増田寛也大臣は「娯楽費への基準作り」をしたいという。官僚は何も分かっていないのだ。

 政権交代でショック療法するしかない。


(記者:矢本 真人)

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