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2008年06月05日(木) 11時25分

AcerとMSIのEee PC対抗Atomノートも触ってみた+D PC USER

 まずは新型Eee PCとほぼ同時に発表されたAcerの「Aspire one」だが、製品の概要は既報の通りだ。日本では8月中の発売を目指しているとのことで、店頭で実機を触われるようになる日もそう遠くはないだろう。

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 日本での価格は未定だが、北米版が379ドルからと発表されているため、国内市場でも新型Eee PCを下回る価格設定になるかもしれない(現行のEee PCのように、日本向けモデルがWindows XP搭載機のみになれば、価格は上がるだろうが)。

 Aspire oneの基本仕様は、ASUSの「Eee PC 901」に近い。1024×600ドット(WSVGA)の液晶ディスプレイを搭載し、CPUはAtom N270(1.6GHz)、チップセットはIntel 945GMS+ICH7Mとなっている。OSはLinpus Linux LiteとWindows XP Home Editionの2つを用意。前者の場合は512Mバイトのメモリと8GバイトのSSDを搭載し、後者の場合は1Gバイトのメモリと80GバイトのHDDを備えるが、この構成のまま日本市場に投入されるとは限らない。

 今さら8GバイトのSSDでは容量が足りないと感じるかもしれないが、ここには一工夫がある。独自のSmart File Manager機能を備えており、左側面に用意されたSDメモリーカードスロットにSDメモリーカードを装着すると、内蔵のSSDと組み合わせて1ドライブとして認識されるというものだ。

 動作中にSDメモリーカードを抜いてしまった場合などにどうなるのかは確認できなかったが、さすがに後発だけあって初代Eee PCで指摘されたストレージ不足の問題はフォローしてきている。ちなみに、台湾版のEee PC 901では20Gバイトのオンラインストレージサービスを付加することで、ストレージを増強した形だ。

 ネットワーク機能は有線LANとIEEE802.11g/bの無線LANを装備。11nの無線LANやBluetoothを備えていない点でEee PC 901に劣るが、Acerによれば、今年中にはWiMAXと3Gに対応するという。これらのモジュールはもちろん、本体に内蔵でき、前面の無線LAN用インジケータの左脇にはすでにWAN用インジケータも配置されている。

 実機のフットプリントは240×170ミリ、重量は構成により異なるが1キロ以下になる予定で、サイズもEee PC 901とほとんど変わらない。バッテリーパックは3セルと6セルがあり、3セルの場合で約3時間、6セルの場合で約6時間の動作が可能だ。公称のバッテリー動作時間は、独自のSuper Hybrid Engineにより6セルバッテリーで最長約7.8時間の動作時間をうたうEee PC 901ほどではないが、これらは同一条件で動作時間を測定したわけではないので、実際の優劣は不明だ。

 見た目は、光沢の天板と落ち着いた質感のボディに、ヒンジ部のオレンジ色のアクセントが効いていて、低価格ノートながら安っぽくない。ボディの高級感を追求したHPの「HP 2133 Mini-Note PC」ほどではないが、新型Eee PCには十分対抗できる見栄えといえる。特にブルーやブラウンはEee PCにはない渋いカラーで、日本で展開しても受けそうだ。

 展示機に触れてみたところ、ボディはしっかりと作られており、画面を開いたままパームレストを片手で持ってもたわむようなことがなく、液晶ディスプレイのヒンジも微妙な角度調整がきちんとできた。気になったのはパームレストの発熱で、複数の展示機を触ってみたが、手のひらにじんわりと熱が伝わってきた。

 キーボードとタッチパッドは一長一短といったところ。キーボードは小さいながらも主要キーが均等ピッチになっており、カーソルキーも一段下がっている点はEee PC 901より好印象だ。キーボードユニットがぐらつくこともなく、安定して入力できた。キーのレイアウトも全体的にEee PC 901より洗練されているが、カーソルキーに隣接したキーが「PgUp」「PgDn」になっている点はミスタイプを誘いがちで気になった。

 ボディの奥行きはEee PC 901より少し短いので、パームレストは短めだ。そのため、タッチパッドの左右にクリックボタンを分けて搭載して、タッチパッドのサイズを確保している。このデザインはHP 2133 Mini-Note PCと同様だが、やはり操作には慣れを要するだろう。

●異形ケースや最新CPU搭載ノートも見られるAcerブース

 なお、Nangang Exhibition HallのAcerブースには、SF映画にでも出てきそうな異形のケースが特徴のゲーム用デスクトップPC「PREDATOR」や、インテルからの正式発表が延期されたMontevinaことCentrino 2搭載ノートPC、Turion X2 Ultra搭載ノートPCなども展示されていた。

●Wind Notebook U100でEee PC 1000/1000Hを追撃

 MSIが2008年のCOMPUTEXで大々的に展示しているのが、同じくAtom N270(1.6GHz)搭載の小型ノートPC「Wind Notebook U100」だ。6月3日にようやく正式発表となったが、以前から情報が公開されており、Eee PC対抗ノートとして話題を集めていた。国内での発売は6月中の予定で、価格は6万円前後になるという。

 基本スペックだが、液晶ディスプレイは1024×600ドット(WSVGA)の10インチワイドで、チップセットはIntel 945GMS+ICH7M、メモリは最大2Gバイト、ストレージは80GバイトHDD(2.5インチ)となっている。海外向けには、8.9インチワイド液晶ディスプレイを搭載したバリエーションモデルも展開されるとのこと。SSDを採用していないのが印象的だ。

 本体サイズは260(幅)×180(奥行き)×19〜31(高さ)ミリ、重量は3セルバッテリー装着時で約1キロと、同サイズの液晶ディスプレイを備えたASUSの「Eee PC 1000/1000H」より少し小さくて軽いが、持ち運びのしやすさは同レベルだ。バッテリー駆動時間はオプションの6セルバッテリー使用時で最大約6時間をうたっている。

 台湾ではホワイト、ピンク、ブラックの3色が展開されるが、天板のツヤは抑えめで、ボディの塗装にも凝ったところは見あたらない。新型Eee PCやAspire oneと比較すると、シンプルで無難な外観といえる。

 インタフェースの構成は、Eee PC 1000/1000Hとよく似ている。ネットワーク機能は有線LAN、IEEE802.11g/bの無線LAN、Bluetooth 2.0+EDRを備えているが、Eee PC 1000/1000Hのように11nはサポートしていない。

 ボディサイズに合わせて、キーボードはゆとりのある作りだ。主要キーで17.5ミリのキーピッチを実現しており、キーボードユニットもぐらついたりしないので、右Shiftキー周辺の変則的なキーレイアウトさえ気を付ければ、問題なくタイピングできた。タッチパッドも横幅が54ミリあって使いやすいが、左右のボタンが一体化したクリックボタンの押し心地はいまひとつだった。

 ここまで本体サイズが大型化して基本スペックも手堅くまとまってくると、もはやMIDやNetbookといっても、実際の利用シーンにおいては、通常のモバイルノートPCと変わらないだろう(インテルは、AtomとIntel 945GMS+ICH7Mの組み合わせがNetbookとのカテゴリ分けをしているが)。

 会場でわずかな時間触れただけだが、先に紹介したAspire oneもこのWind Notebook U100も後発だけあって、既存の低価格小型ノートPCをよく研究しており、性能的にも価格的にも新型Eee PCと十分勝負できる製品に仕上がっているとの感想を持った。国内版が登場するタイミングで、改めてレビュー記事をお届けしたい。

●カラフルなNettopやCentrino 2のゲーミングノートも展示

 Nangang Exhibition HallのMSIブースでは、デザイン天板や派手なカラー、革張りのボディを採用したWind Notebook U100や、Atomを搭載した小型デスクトップPC(いわゆるNettop)の「Wind PC」、Centrino 2やTurion X2 Ultraを採用したゲーミングノートPCなどが展示されていた。

 また同社はPC本体の新製品をアピールする一方、従来通りマザーボードやグラフィックスカードの展示にも力を入れている。こちらに関しては、追って紹介する予定だ。

【関連キーワード】 Netbook | Atom

  特集:COMPUTEX TAIPEI 2008
  Atom搭載のNetBookとNettop、そしてマザーボードが大集結
  Atom搭載のEee PCとEee Boxに触ってみた

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