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2008年06月05日(木) 17時47分

摘発後の出会いカフェはどうなっているのか?オーマイニュース

 警視庁生活安全特別捜査隊と池袋署は5月28日、東京・池袋のいわゆる出会いカフェ、「キャンカフェ」を都デートクラブ営業等規制条例違反(禁止区域内営業など)の疑いで捜索し、翌29日、店長らを逮捕した。

 記者も「出会いカフェ」(男性が女性を指名するシステム)や、「ナンパ部屋」(女性側からも選択ができる)に行ったことがある。男女の出会いの場を提供するこれら「カフェ」については、「新たな売春の温床になる?」との声があるが、本当のところ、どうなのか。

 そこで、摘発後の「出会いカフェ」はどうなっているのかを見に、行ってみることにした。

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 ただ、「キャンカフェ」池袋店は営業していなかったので、記者は6月初の平日午後3時ごろ、別の店舗を訪れた。

 入会金は「1万円」。キャンペーン中という理由で「5000円」だった(この店舗の前はよく通るが、常時キャンペーン中となっている)。「2時間コース」と「終日コース」がある。2時間コースの場合、2000円で、女性を指名して話をする場合、トーク代として10分1000円。

 終日コースは4000円で、トーク代が含まれる。いずれも外出が成立すると、店側に 4000円。女性には「交通費」を支払う(支払う義務なし。額は任意)。

■牽制しながら(?)物色する男性たち

 店舗に入ると、マジックミラー越しに女性達を見ている男性たちが目に入る。指名する女性を物色している様子だ。

 しかし、男性同士はなかなか指名しない。好みの女性がいないのか、他の客を牽制しているのか。利用する女性は時間帯によって増減はあるものの、最低でも5人。

 自己申告のプロフィールでは、年齢層は10代後半から20代後半まで。職業は学生、フリーター、OL、役者など。見た目は「普通」の女性が入ってくると、指名する男性が集中した。

 ある利用男性(20代)はこう話す。

 「今日は会社の研修の帰りです。飲み会の流れで来てみました。話題だったし」

■裏社会に関心があった専門学校生

 午後5時ごろ、 記者は、英語の勉強をしていた「18歳」の専門学校生Aさんを指名した。まじめに見える彼女がなぜ利用しているのかが気になったからだ。トークタイムで軽い自己紹介だけをして外出した。夕方だったために、近所の中華料理店で食事を一緒にした。

 「私、この前摘発された池袋の『キャンカフェ』によく行っていたんですよ。なぜって? タダで雑誌の最新号を読めるし、お菓子も豊富だったんです。それに比べると、ココは漫画の種類少ないし、お菓子も少ないですよね」

と、無料の漫画喫茶気分で利用していた、という。ただ、危険は多少感じているようだ。といっても、売買春というよりは、裏社会とのつながりを気にしていた。

 「やっぱり、こういうところって、裏社会とつながっているんですかね? そういうの、ちょっと興味があるんですよね。これまで何もなかったんですけど、個人情報は漏れちゃうんでしょうか。親に連絡されるのは嫌ですからね」

■自称・声優「2以下ではやらない」

 その後、Aさんと別れて、再び店舗に戻った。午後10時を過ぎた頃に、「26歳」の女性を指名した。プロフィールの「声優」が気になったからだ。彼女は時間があったし、帰り道だったというので、出会いカフェに寄ったという。ただ、トークタイムの終了が近づくと、

 「この時間だと選択が少ないですよね。お茶かお酒かお泊まりか、ですかね? お泊まりの場合は、私は『2(万円)以下』ではやらないことにしています。どうしますか?」

と誘ってきた。が、記者は、

 「トークタイムは延長できないんですよね? ちょっと考えますので、(OKなら)また指名しますんで」

と遠まわしに誘いを断った。

 この日は5人ほどとトークをしたが、はっきりと売買春の交渉を持ち出されたのは、この女性だけ。たしかに、他の女性とは違って、トーク中の体の距離が近い(10センチぐらい)と思っていた。実は顧客獲得のためだったのか。これまでも出会いカフェやナンパ部屋は利用したことがあったが、こうした交渉を持ちかけられたのは初めてだった。

■摘発後も変化なし

 ここで特筆した女性2人は、いずれも「出会いカフェ」に慣れているユーザーのようだ。他の女性は初めてか、2回目くらいだと言っていた。(むしろ、その方が男性の指名が多いように思われる)。無料で利用できるスペースで、その後も、お金がなくても遊べるというのが魅力だと、“初心者”の女性たちは話していた。

 摘発数日前に「キャンカフェ」池袋店を利用した男性は、こう話している。

 「その日は平日の昼間でした。友達と来ている人もいましたね。ある女子高生とトークをしたら、『無料の漫画喫茶のようなもので、友達と暇つぶしをしていたら、中年の男性客に数万円を提示された。それがきっかけで援助交際を始めた』などと話していました」

 こうしたスペースを倫理的に問題だとする声もある。たしかに、違法行為があれば問題だ。しかし、男女の出会いの場を欲する人たちにとっては、様々な出会いのツールのひとつにすぎない。

 愛人クラブ、テレクラ、ツーショットダイヤル、伝言ダイヤル、出会い系サイト、店舗型出会い系サイト、店舗型チャットルーム、セリクラ、ナンパ部屋、お見合いパブ……。時代が変化するたびに、そうした場所が出現している。

 摘発後も、「出会いカフェ」は何事もなかったかのように、変わらず営業している。

(記者:渋井 哲也)

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