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2008年06月04日(水) 12時06分

Atom搭載のEee PCとEee Boxに触ってみた+D PC USER

 ASUSTeK Computer(ASUS)は、Eee PCの成功を受けて「Eee PC」ブランドをさらに拡充していく構えだ。COMPUTEX TAIPEI 2008では、パーツやPC関連製品とは別にEee PC専用のブースを設けており、同社のEee PCに対する力の入れようがうかがえる。ここでは、同ブースに展示されている製品を紹介しよう。

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 6月3日の昼に「Eee PC 901」「Eee PC 1000」「Eee PC 1000H」の3製品が発表されたことを受け、ブースでは午後2時ごろからEee PC 901と1000Hの展示が始まった(いずれも現地時間)。初日の午後にブースを訪れた際は、展示機の周囲に常に人だかりできるほどの人気ぶりだった。

 さっそくEee PC 901と1000Hの展示機に触れてみたが、タッチパッドの周囲や液晶ヒンジ部にメタチックのパーツを採用しているほか、天板を光沢感のある凝った塗装に仕上げているため、写真では伝わりにくいが、従来機より高級感が増した印象を受ける。

 展示機はいずれもCPUに1.6GHz動作のAtomを採用していた。これはチップセットが1チップ構成で提供される携帯端末やMID向けのSilverthorneではなく、チップセットにIntel 945Gシリーズを組み合わせた低価格ノートPC(インテルがいうところのNetbook)向けのDiamondvilleであり、プロセッサー・ナンバーはN270だ。チップセットはIntel 945GSE Express+ICH7Mと予想される。

 Eee PC 901の展示機は1Gバイトのメインメモリと12GバイトSSD、Eee PC 1000Hの展示機は2Gバイトのメインメモリと80GバイトHDD(ST980811AS)を内蔵していた。今回はパフォーマンスのテストができなかったが、もちろんWindows XPの基本動作でもたつくようなことはない。HDDを搭載したEee PC 1000Hは、SSDモデルのようにラフには扱えないが、ストレージの残量を気にせず使えるメリットがある。

 液晶ディスプレイはEee PC 901が8.9インチワイド、Eee PC 1000Hが10.2インチワイドとなっているが、解像度はどちらも1024×600ドット(WSVGA)だ。Eee PC 1000Hはもう一回り高解像度(縦が768ドット以上)の液晶ディスプレイを採用してほしかったところではあるが、初代モデルが搭載していた800×480ドット(WVGA)の7インチワイド液晶と比べると、随分と快適になった感がある。

 キーボードの上には4つのワンタッチボタンが用意され、表示解像度は800×480ドット、1024×600ドット、1024×768ドット(疑似表示)にトグル式で切り替えることが可能だ。そのほか、ASUS独自の省電力技術「Super Hybrid Engine」の動作モード切り替えや、スリープへの移行、Skypeの起動を行うワンタッチボタンが用意されている。

 入力デバイスの操作性についてだが、Eee PC 1000Hはタッチパッドの不良か思うようにポインタが移動できない状態だった。Eee PC 901は問題なく操作できたので、展示機固有の問題と思われる。従来機と比較して、タッチパッドが狭く感じない程度まで広くなり、クリックボタンも大型化されたため、使い勝手は通常のモバイルノートPC並みに改善された。クリックボタンは硬く作られており、押すのに力が必要だが、そのぶんボタンがふらつくようなことはない。

 キーボードのレイアウトに関しては、Eee PC 901は従来機と同様だったが、Eee PC 1000Hは大型のボディを生かして余裕あるサイズのキーボードを搭載しており、タッチタイピングもしやすくなっていた。具体的には、Enterキー周囲のキーピッチが均等になり、EscとF1キーの間の「~」キーがEscの下に移動し、右CtrlやPrtScのキーが追加されるなどの違いが見られる。欲をいえば、キータッチはもう少ししっかり作り込んでほしかったところだが、既存のEee PCのキーボードが使いにくいと感じていた人もこれならストレスなく入力できるかもしれない。

 以上は展示機をざっと触ってみた感想だが、日本で発売されている第1世代のEee PCで指摘された弱点はほぼ改善されている。IEEE802.11nの無線LAN機能やBluetoothの搭載もうれしいところだ。2008年1月にEee PCが日本に上陸した際、Atom搭載Eee PCが同年の夏に登場することが公表されていたため、マニアの間では「Atom搭載のEee PCこそ買いだろう」との声も聞かれたが、確かにこの仕様であれば、常時携帯するモバイルノートPCとして十分使えると思う。

 ただし、価格面は考慮する必要がある。ニュー台湾ドルによる価格は、Eee PC 901が1万6988元、Eee PC 1000Hが1万8988元となっており、日本円ではEee PC 901が5万8000円強、Eee PC 1000Hが6万5000円強に相当する。この価格帯はもはや珍しいものではなく、各社の低価格ノートPCがひしめく激戦区となりつつあるからだ。完成度を高めた新世代Eee PCに対して、他社がどのような新製品をCOMPUTEX TAIPEI 2008に出展しているのかは、追って紹介したい。

●ノートの次はデスクトップに「Eee」ブランドを投入

 Atom搭載の新型Eee PCと人気を二分していたのが、デスクトップ版のEee PCとしてASUSが投入する「Eee Box」だ。Wiiに似た小型ケースを採用した重量1キロ程度のデスクトップPCで、台湾では6月末に発売されるという。Eee PCと同様、OSにLinuxとWindows XP Home Editionを採用したモデルが用意され、価格は300ドル以下(米ドル)としている。

 展示機のCPUとチップセットは、Atom N270(1.6GHz)とIntel 945Gシリーズ(おそらくIntel 945GSE Express+ICH7M)を組み合わせており、基本的な仕様はEee PCの中身を小型デスクトップPCに載せ替えた印象だ。メインメモリは最大2Gバイト、ストレージは80Gバイトか160GバイトのHDDが用意され、光学ドライブは内蔵していない。

 ネットワーク機能は有線LAN、IEEE802.11nの無線LAN、Bluetoothが搭載可能だ。また、展示機はSDメモリーカードやメモリースティックに対応したカードスロット、DVI-I出力、4基のUSBポートを備えていた。

 COMPUTEXの前から製品仕様や写真が出回り、話題を振りまいているEee Boxだが、ファーストインプレッションは確かにWiiに似ているというものだった。既存の人気製品に似たデザインについては賛否両論あるだろうが、ここまで小さなデスクトップPCでメジャーな製品は、まだアップルのMac miniくらいのものなので、場所を取らない据え置き型のセカンドPCとして欲しがるユーザーは少なくないだろう。

 そのほか、同ブースではEee PCやEee Boxと組み合わせることを想定した周辺機器も多数展示されていた。どれもコンパクトサイズにこだわっており、Eee PCのユーザーでなくても注目しそうなアイテムが多い。

 周辺機器の中では、新型Eee PCの発表会でも大々的に紹介されたワイヤレスコントローラの「Eee Stick」が目立っていたが、これをEee Boxと合わせると、まさにWiiそっくりになってしまうのではないか、と余計な心配してしまう。Eee Stick自体は、ゲーム用途をメインに、PCの入力機器としてさまざまな可能性があると思うので、日本市場にも投入してほしいところだ。

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