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2008年06月04日(水) 16時00分

青パト:犯罪抑止効果、導入進む 福岡市内に100台、広がる自主防犯活動 /福岡毎日新聞

 ◇地域を守れ!広がる自主防犯活動
 子どもや女性を狙った犯罪が目立つ中、県内で「青パト」巡回による自主防犯活動が広がりを見せている。犯罪抑止に効果がある反面、ガソリン高騰で経費がかさむなど苦労も多い。県は実施する団体にアドバイザーを派遣し支援を拡充する方針だ。【村尾哲、竹田定倫】
 ■意識の高まり
 福岡市内では05年1月の初導入以来、増え続け、今年4月末現在で61団体の計100台が巡回している。県警生活安全総務課によると、行橋市では12台が活動していた06年末に2599件だった刑法犯は、59台に増えた07年末には1999件に減った。同課は「地域住民の意識が高まり、犯罪抑止につながる」と効果を指摘する。
 前原市の加布里小校区では5月から、糸島地域(前原市、志摩町、二丈町)で初の青パト9台が走り始めた。
 運営は加布里青少年育成校区民会議(柚木利道会長)に加わる行政区長やPTAの有志たち。柚木会長は「昨年11月と12月に不審者情報が3件あったが、地域が一つになることが少なくなっている中、頑張りたい」と話す。
 ■人手、経費悩み
 しかし、最近はガソリン代の高騰などで、まじめにやるほど負担も大きい。中央区の笹丘小校区で自主防犯活動している「笹丘校区危機管理部」は人手や経費面から青パトの導入を見合わせている。
 車の購入代の他に、ガソリン代や税金など年間20〜30万円の維持費がかかるとみられるという。車の管理場所の問題もある。最低2人で毎日パトロールするには、実働で約20人必要という。
 大野城市では5月、巡回中の青パトが少年に足げにされ、車のドアが損傷する事件も起きた。
 ■秘けつは気楽さ
 県は06年度から活動を始める団体に上限10万円の助成をしている。県生活安全課は「ボランティアという性質上、行政が援助しすぎるわけにもいかない」とさらなる補助は困難視する。そこで新たに、団体に有識者や警察OBを派遣し防犯や資金調達のノウハウを伝授する制度を今年度中に始める考え。団体間で情報を共有できるネットワーク作りも検討中だ。
 早良区小田部校区の「だいこんの会」は、7年前に国内で初めてパトロールカーでの巡回を始めた。開始当初は10人にも満たなかったが、今では約40人が交代で1日3回、巡回する。
 犬丸道比古会長(57)は「防犯だけでは続かない。息抜きとして、キャンプや飲み会を定期的に開いている」と活動の秘けつを話す。経費の一部もバザーや夏祭りで餅などを売った収益でまかなっている。昨年11月の繰越金は110万円で“3代目”の青パトを新車で購入した。犬丸さんは「住民からの『ご苦労様』の言葉が原動力。地道に続けていればきっと協力してくれる人がでてくる」と語った。
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 ■ことば
 ◇青パト
 車に青色の回転灯をつけた民間パトロールカー。警察の許可が必要で、走行中は「パトロール実施者証」を交付された者が最低1人乗車する▽最低週1回は巡回する——などの要件がある。
〔福岡都市圏版〕

6月4日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080604-00000170-mailo-l40