記事登録
2008年06月04日(水) 15時32分

国籍法「結婚要件」は違憲=比人母の子に日本籍−最高裁大法廷時事通信

 結婚していない日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた子供計10人が日本国籍を求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は4日、両親の結婚を国籍取得の要件とした国籍法の規定を違憲とする初判断を示した。その上で、訴えを退けた2審判決を破棄、原告全員の日本国籍を認めた。
 最高裁が法律の規定に違憲判決を出したのは、在外邦人の選挙権を制限した公選法の規定をめぐる2005年の判決以来で、8例目。
 父母の結婚により国籍に差が生じることについて、15裁判官中12人が違憲とした。
 訴えていたのは、東京、埼玉、神奈川各都県などに住む8〜14歳の子供10人。
 判決で大法廷は、出生後に認知された場合、両親が結婚しないと国籍を認めないとした国籍法三条の規定について、1984年の制定当時には合理的だったとした。
 しかし、遅くとも原告が国籍取得届けを提出した2003年当時には合理性はなくなり、理由のない差別が生じていたと指摘。規定は憲法の平等原則に反すると判断した。
 国側は国籍法三条の結婚要件を外した場合、認知だけで国籍を取得できる新しい制度を裁判所が作ることになると主張していた。大法廷は法律の一部を違憲としても、国会の立法権を侵害しないとした。 

【関連ニュース】
国籍取得、数万人に道=婚外子国籍訴訟
〔用語解説〕「国籍法」とは
〔ビジュアル解説〕日本人父・外国人母の子の国籍

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080604-00000093-jij-soci