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2008年06月03日(火) 08時00分

新銀行東京 累損1016億円産経新聞

 東京都が400億円を追加出資して経営再建中の新銀行東京は2日、平成20年3月期決算を発表した。最終損益は多額の不良債権処理損失を計上したことなどから167億円の赤字となり、累積損失は1016億円に上った。新銀行は累損を一掃するため、1016億円をめどに減資を実施することも表明。今月末に予定している株主総会で正式に決める。減資が実行されると、都が設立時に出資した1000億円のうち、8割超が消失する。

 20年3月期は既存融資分の焦げ付きが止まらず、129億円の不良債権処理損失を計上した。一方で従来の融資拡大路線から転換したことで、貸出金残高を前年同期比で570億円減らしたことに伴い、不良債権の処理に備えた貸倒引当金の戻り益も発生。この結果、本業のもうけを示す業務純益は20億円の赤字ながらも前年同期より186億円改善し、最終損益も赤字幅を380億円縮小した。

 だが、依然、融資の焦げ付きが続くほか、5月16日から始まった金融庁の立ち入り検査で、厳格な資産査定を迫られれば、今後、不良債権処理損失が大きく膨らむ恐れもある。

 都は4月に追加出資を実施。新銀行の現在の資本金と資本剰余金は計1589億円で、うち都の出資分は1400億円に上る。出資比率は84%から88%に上昇した。ただ、追加出資分は議決権のない優先株を引き受けて出資しており、議決権ベースの出資比率は84%と設立時から変わらない。


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