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2008年06月03日(火) 11時38分

渡辺行革相の男泣きは何を訴える?オーマイニュース

 5月29日、ほとんど無理と言われていた国家公務員制度改革法案が衆院を通過した。

 官房長官が原案をつくる内閣一致人事、キャリアー制の廃止、労働基本権の付与、政治家と官僚の接触は制限しない、官僚主導から政治か主導など、内容は政府案と民主党案の折衷案らしい。

 しかし、官房長官が官僚出身(過去官僚)だったらどうなるか。政治主導を確保するためにスタッフを増強すると言うが、そのスタッフがほとんど官僚だったらどうなるか。

 人材を官僚に頼らなければならない現状では、この制度改革も十分に効果を上げられか心配はあるが、今よりは一歩も2歩も前進であることは間違いない。

 もっとも、この法案の成立は困難と誰もが見ていたのではないだろうか。

 官僚政治にすがる福田首相。過去官僚の町村官房長官、官僚出身の委員会の理事に囲まれての渡辺行革相の苦労は並々ならぬものであったろう。

 先週、渡辺行革相のテレビ出演を見ていた。キャスターが「過去官僚などの抵抗がないのか。誰が抵抗しているのか」と暗に誰か知っているよという口調で追求していたが、渡辺行革相は「そんなことはない。総理以下協力的だ」と笑顔で切り返していた。何とかしようともがく渡辺行革相に分が悪いと見えた。

 このときも渡辺行革相は「官僚主導から政治家主導にするんだ。政治家から情報をとって欲しい」と懇願すると、新聞社在籍のコメンテイターは「メデイアは官僚に利用されている嫌いはある」と半ば自戒する発言もあった。

 法案が衆院通過後の囲い込み会見で渡辺行革相はコメント中に感極まって涙をこぼし、コメントが続かなかった。法案の難産を象徴する光景であった。

 これからは、私たちもしっかり国家公務員の行状を監督していかなければならない。優秀な人材が民間企業や国の機関でちからを発揮することは良いことであるが、その人に国の政策や予算がついて回ることは改めるべきである。民間企業もそう言う人事は拒否すべきである。

 公務員の生涯収入は天下り、渡り鳥で民間と同じになるとその必要性を強調しているが、本当なのか。とても信じられない強弁である。

 基本法は成立するが、これから運用に当たって国家公務員の反撃が始まる。自分たちの利権を守るために「骨抜き改革」に向けて官僚はありとあらゆる手を使ってくるだろう。官邸の補佐官は官僚からなっている。国会の審議を経なくても実施できることもあるだろう。また連合が支持母体である民主党が途中で腰砕けになる心配はないのか。

 官僚は「ずるい」。自分たちの思うがままに振る舞い、まずいことは隠蔽し、ことが大きくなれば国民のツケとなってかえってくる。

 渡辺行革相の会見中の涙を、政治家主導政治に向けた国会議員の意識改革に向けなければならない。

(記者:矢本 真人)

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